2022年(令和4年) 6月1日(水)付紙面より
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与野党対決各陣営臨戦態勢に
今夏の参院選山形選挙区(改選数1)は、自民党県連が公認候補の擁立を正式決定したことで、与野党候補が対決する選挙戦の構図が固まった。独自候補の擁立を巡って迷走し出遅れた政権与党の自民が態勢をどのように立て直すのか。また、野党共闘が崩れた国民民主党と共産党はどう戦うのか。コロナ禍での感染防止対策と経済再生の両立や、歯止めが利かない人口減少問題など地方の諸課題に加え、憲法改正や安全保障問題など多くの争点が浮上する中、与野党とも“事情”を抱えたまま選挙戦に突入することになりそうだ。参院選は6月22日公示、7月10日投開票の日程が有力視されている。公示まで3週間となり、各陣営は臨戦態勢に入った。
6月22日告示7月10日投開票有力
山形選挙区にはこれまで、国民民主党筆頭副代表で現職の舟山康江氏(56)、元県議で自民党新人の大内理加氏(59)、共産党新人の石川渉氏(48)、NHK党新人の小泉明氏(51)の4人が立候補を表明している。
現職の舟山氏は昨年末に3選を目指して出馬を表明。今年2月には立憲民主党、連合山形による2党1団体で構成する参院選連絡会議を立ち上げ、野党連携を強調した。5月8日に山形市内で事務所開きを行い、選挙戦への準備を着々と進めている。国民民主が政府の本年度予算に賛成したことを受け、一時は立憲民主の党本部や一部の支持者から不満の声が上がっていたが、舟山氏は「自分は野党であり、自公と対峙(たいじ)する姿勢に変わりはない」と明言し、「野党の立場」を繰り返し主張してきた。同29日に1回目の総合選対会議を開き、与野党対決の姿勢を再確認した。立民県連が正式に支援を決め、連合山形が推薦する。
自民は独自候補擁立を巡って党本部が二転三転。一時は独自候補擁立を断念し舟山氏の推薦論も浮上していたが、県連などの猛反発で擁立へ急転換した。5月23日に出馬の打診を受けた大内氏は同26日に受諾。県連は29日の会合で大内氏の擁立を正式決定し、30日に党本部へ公認を申請した。記者会見で大内氏は「与党の政策を県民に伝える機会が失われてはならない」と出馬を決めた理由とともに「山形県のために働きたい」と意気込みを語った。政権連立与党の公明党は対応を明確にしていない。自民党選対委員長も務める遠藤利明県連会長は29日、「党の公認と時間差なく、公明党の推薦を得られると確信している」と述べた。
国民民主の政府予算への賛成などに反発した共産党県委員会は今回、独自候補を擁立。石川氏は5月13日に山形市内で事務所開きを行った。同委員会は「自公政権に近づく国民民主も批判の対象となる。野党共闘が崩れた現状を有権者がどう見るか。この選挙の結果がはっきりと示すことになるだろう」と話している。
NHK党の小泉氏は5月19日に出馬を表明。選挙期間中は自転車で県内を巡り活動する予定としている。