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2022年(令和4年) 10月23日(日)付紙面より

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「彦太郎糯」で日本酒づくり 遊佐で“幻のもち米”刈り取り

 遊佐町小原田の農業・伊藤大介さん(42)方の田んぼで21日、幻のもち米といわれる「彦太郎糯(ひこたろうもち)の刈り取りが行われた。年明けには酒田市浜中の酒造会社「オードヴィ庄内」とタイアップし、全国初となる彦太郎糯を原料にした日本酒(純米酒)醸造に入る。

 彦太郎糯は遊佐町豊岡が発祥とされる。かつては東北で広く栽培されていたが背丈が1メートル70センチ前後まで成長し強風で倒れやすいことから農家から敬遠されるようになった。1960年に県の奨励品種からはずれ一時は育てる農家が途絶えてしまったという。

 伊藤さんは2006年、種を保存するために栽培を続けている鶴岡市藤島の「県農業総合研究センター・水田農業研究所」から彦太郎糯の種を譲り受けて「復活」に取り組んだ。現在、遊佐町内で栽培しているのは伊藤さんと白井新田の齋藤武さん(48)ら合わせて4人。伊藤さんと齋藤さんが収穫した彦太郎糯は東京、愛知、福岡の菓子店に出荷し大福の原料に使われている。例年12月には丸餅にして道の駅「鳥海ふらっと」で販売。「もちもちとした歯応えがあっておいしい」とすぐに売り切れる人気商品だ。

 昨年、オードヴィ庄内で試験的に彦太郎糯の日本酒を醸造。インパクトのある独特な味に仕上がった。今回は年明け早々にも醸造に入り、一般販売を目指す。遊佐町のふるさと納税返礼品に扱ってもらう予定で、遊佐の「幻の酒」として町をアピールする。

 この日、広さ30アールの田んぼで彦太郎糯を収穫した伊藤さんは「作柄は上々。オードヴィ庄内さんにもち米を送り、日本酒造りを進めていきたい。自分自身も仕上がるのが楽しみ」と話していた。

コンバインで彦太郎糯の刈り取りを進める伊藤さん
コンバインで彦太郎糯の刈り取りを進める伊藤さん

背丈1メートル50センチに成長した彦太郎糯
背丈1メートル50センチに成長した彦太郎糯



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