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2022年(令和4年) 6月16日(木)付紙面より

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刈屋梨用い醸造 結成20周年・庄内酒彩倶楽部

「梨のミューズ」に「梨のデアノイエ」

 結成20周年の節目を迎えた酒田市の酒販店などで組織する庄内酒彩倶楽部(池田吉伸会長、8店舗)と、同市の刈屋梨出荷組合(佐藤尚人組合長)による刈屋梨供給締結式が14日、同市の刈屋公会堂で行われた。組合が供給する豊水、ラ・フランスを用いて同倶楽部は、オリジナルワイン「梨のミューズ」、微発泡性生ワイン「梨のデアノイエ」、常温保存が可能なスパークリングワインを醸造する。

 今世紀初めの「規制緩和の波」によって大手スーパーやコンビニエンスストアといった組織小売による酒販参画が相次いだ。同倶楽部は、この状況に危機感を抱いた、市内の酒販関係の若手経営者が「勉強会」として2002年に立ち上げた。翌年の03年8―9月に相次いで襲った台風の影響で収穫間近だった刈屋梨の7割が落下した上、塩分を含む「潮風」の被害で葉は変色、木に残った梨も傷が付いた。売り物にならなくなった梨の有効活用を図ろうと、同倶楽部が「梨のミューズ」を醸造・発表したのが供給締結の始まり。以降、組合員から供給された刈屋梨を使って、倶楽部は「梨のミューズ」「梨のデアノイエ」を毎年発表、フルーティーな味わいに固定ファンも多い。「先進的な農商工連携、独自酒類を開発・販売し、地域農産物の付加価値、知名度向上に寄与した」として14年度、市制定「新田産業奨励賞」を受けた。昨年には試験的にスパークリングワインも製造し、人気を博した。今年の契約覚書によると、ワイン醸造用として組合員が生産した豊水600キロとラ・フランス400キロの計1トンを同倶楽部に供給。同倶楽部は刈屋梨の知名度向上に向けて全面的に協力していく。

 この日は両団体から計14人が出席。池田会長が「天候が順調に推移し、今秋には梨がたわわに実ることを祈念する」とあいさつ。佐藤組合長は「開花以降の降雨・低温で、主力品種の幸水を中心に玉伸びが芳しくない」と今季の生育状況について話した上で、「期待に応えられるよう、努力して数量を確保したい」と述べた。その後、2人が覚書に署名・押印し交わした。

 鳥海山・飛島ジオパーク認定商品となっている「ミューズ」と、スパークリングワインは通年商品。「デアノイエ」は例年通り12月中旬の発売開始を予定しており、発表会に合わせ20周年の節目を祝う会を開催する。3種とも醸造はオードヴィ庄内(同市浜中)が手掛ける。

供給締結の覚書を交わす佐藤組合長(左)と池田会長
供給締結の覚書を交わす佐藤組合長(左)と池田会長


2022年(令和4年) 6月16日(木)付紙面より

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「宝生流能楽公演」本公演 人間国宝や能楽界の大御所舞う

豪華な舞台

 酒井家庄内入部400年を記念した「宝生流能楽公演」の本公演が14日、鶴岡市の荘銀タクト鶴岡(市文化会館)で開かれた。ともに人間国宝の野村万作さん(狂言方和泉流)と大倉源次郎さん(小鼓方大倉流宗家)の能楽界の大御所をはじめ、能楽流派・宝生流第20代宗家の宝生和英(かずふさ)さんらが出演し、祝賀能として舞囃子「高砂」、狂言「末広かり(すえひろがり)」、能「石橋(しゃっきょう)」の豪華な舞台を繰り広げた。

荘銀タクト鶴岡「観客と一体」に

 能楽は江戸時代に武家の式楽(儀式用の公式な芸能)とされ、旧庄内藩主酒井家には代々宝生流能楽師の三川家が指南役として仕えていた。公演は酒井家と宝生流の歴史的な縁を基に、公益財団法人庄内能楽館(酒田市浜松町、池田宏理事長)が主催し、市教育委員会、荘内神社が共催。荘内日報社などが後援した。

 「末広かり」では万作さん、息子の萬斎さん、孫の裕基さんの狂言師野村家3代が共演。滑稽な所作とせりふ回しに息の合った掛け合いを披露して会場の笑いを誘い、万作さんの演技に大きな拍手が湧いた。「石橋」には、宝生さんが子獅子で出演。祝賀の意味を持つ演目として、紅白2匹の獅子が連れ立って現れて激しく舞踊する「連獅子」の特殊演出が取り入れられ、豪華絢爛(けんらん)な舞台で観客を魅了。小鼓の大倉さんは今回特別に、同市の黒川能(国指定重要無形民俗文化財)に500年ほど前から伝わるという鼓胴を使って出演し、鼓の音を響かせた。

 本公演前には、旧庄内藩主酒井家第18代当主・酒井忠久さん、萬斎さんらによるシンポジウム、地元の子どもや大人20人が出演した連吟「鶴亀」も行われた。

 この日は、本公演に先立ち酒井家初代・忠次公など祖先をまつる同市の荘内神社拝殿で祝賀能奉納があり、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願して舞う「<翁(おきな)」が上演された。宝生さんが翁、萬斎さんが"三番叟(さんばそう)を務め、境内に集まった約120人を前に大鼓、小鼓、笛の音と調和した厳かで迫力ある舞を披露した。宝生さんは「鶴岡・庄内で縁のある三川家が築いた能楽の文化や素晴らしさを次代に伝えていきたい」、萬斎さんは「30年ほど前に黒川能を見物に訪れたことがある。今日は観客と一体となり、気持ち良く演じられた」と話した。観能した酒井忠久さんは「入部400年を契機に素晴らしい演目を奉納していただいた。先祖もきっと喜んでいます」と話していた。

酒井家庄内入部400年記念の祝賀能で、連獅子の特殊演出が披露された能「石橋」。豪華絢爛な舞台で観客を魅了した=荘銀タクト鶴岡
酒井家庄内入部400年記念の祝賀能で、連獅子の特殊演出が披露された能「石橋」。豪華絢爛な舞台で観客を魅了した=荘銀タクト鶴岡

荘内神社拝殿で奉納上演された天下泰平、五穀豊穣などを願う「翁」
荘内神社拝殿で奉納上演された天下泰平、五穀豊穣などを願う「翁」



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