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荘内日報ニュース


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2022年(令和4年) 6月18日(土)付紙面より

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モンテディオ山形 盛り上がるホーム“集客戦略”

多彩なイベントまるでテーマパーク
新スタジアム25年運用開始予定

 サッカーJ2・モンテディオ山形がNDソフトスタジアム山形(天童市)でホームゲームを行う際の“集客戦略”が盛り上がりを見せている。会場周辺には30を超える飲食ブースが並び、射的や型抜きが楽しめる縁日コーナーも設けられるなど、多彩なイベントはまるでテーマパークのようだ。今シーズンからは飲食などに現金を伴わない完全キャッシュレス化も導入し、利便性も向上した。経営基盤と集客力の強化を図り、2025年の運用開始を予定している新スタジアムの完成に備える。

 集客の取り組み強化は、チームを運営する株式会社モンテディオ山形の社長に相田健太郎氏(48)が就任した2019年にスタートした。特に力を入れているのが「ブルーキッチン」と呼ばれる飲食ブース。協賛各店の店員が着けるデニムエプロンを統一し、ホームスタジアム周辺の広大な敷地を活用して“スタジアムグルメ”空間を創出した。

 提供されるメニューは、A5ランクの山形牛を使ったローストビーフ丼をはじめ、県産豚の手作りフランクやげそ天そば、フルーツタルトやパフェ、クレープなどのスイーツ、ヤンニョムチキンやノンアルコールカクテルと、一部を挙げるだけでバラエティーの豊かさが分かる。庄内地域からはラーメンやフルーツサンドなどのブースが出ている。プロサッカーの試合だけでなく、サポーターの胃袋を喜ばせるブルーキッチンは、J1、2を通じたJリーグのグルメランキングで年間5位を獲得した実績もある。

 飲食だけでなく、家族連れが射的やスーパーボール釣りなどを楽しめる縁日コーナー、時には地元中高生の吹奏楽部によるステージイベントなども開催している。こうした賑(にぎ)わい空間の創出について相田社長は「スタジアムを訪れた人たちに一番感じてほしいのは、プロサッカーチームが地元にある素晴らしさと、県内の全ての地域がモンテディオ山形にとってホームタウンであるという自分たちの思い」と話す。

 ホームスタジアムについて相田社長は「駅が近い訳でもなく、車で訪れなくてはならない。インフラとしては恵まれていない場所かもしれない。しかし、試合だけでなく子どもから大人まで飲食などが楽しめ、地元の素晴らしさに気付けるような空間を生み出すことで、モンテディオ山形を身近に感じてもらいたい」と語った。

 さらに新たな工夫として、今シーズンから完全キャッシュレス化を導入した。観戦チケットや飲食の販売などは全てクレジットカードや電子マネーなどで支払する。決済スピードが早く利便性が向上するだけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大防止の一助ともなり、各店の売り上げアップにつながっている。現金のみという人のために場外3カ所にプリペイドカードの自販機を設置しており、残高は同じ自販機で払い戻せる。

 2025年には現スタジアムの南側に新スタジアムが建設され、同年の運用開始が見込まれている。相田社長は「チームのホームゲームは年間20回程度。そのためにしか使わないなど考えられない。通年で人が来るような方法として、屋内競技やコンサート、展示会の開催などさまざまな展開が考えられる。しっかりと検討していきたい」と話す。

 また、庄内のファンに向けて「庄内の多くの企業から協賛いただいており、チームにとって大切な地域。運営側ももっと努力するのでぜひスタジアムに足を運んでほしい」と呼び掛けた。

集客力の強化や新スタジアムの構想について語る相田社長
集客力の強化や新スタジアムの構想について語る相田社長

スタジアム周辺にはテーブルや椅子が設置され、飲食を楽しめる「賑わいの場」が創出されている=C MONTEDIO YAMAGATA
スタジアム周辺にはテーブルや椅子が設置され、飲食を楽しめる「賑わいの場」が創出されている=C MONTEDIO YAMAGATA


2022年(令和4年) 6月18日(土)付紙面より

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学力重視は大切なもの見失う 工藤さん教育講演会

 鶴岡市出身の教育者で、校長を務めた中学校での定期テストや宿題、固定クラス担任制の廃止などの改革と実践で全国的に知られる工藤勇一さん(62)を迎えた教育講演会が16日、市先端研究産業支援センター・レクチャーホールで開かれた。工藤さんは日本の学校教育について、「学力重視で与え続ける教育を継続した結果、最も大切なものを見失ってきた」とし、自律型の人材育成の重要性を説いた。

 工藤さんは朝暘一小、鶴岡三中、鶴岡南高、東京理科大理学部卒。合併前の旧松山町の松山中で数学教師を務めた後、東京都の教員となり、2014年4月から20年3月まで千代田区立麹町中の校長を務めた。内閣官房の教育再生実行会議委員などを歴任し、現在は内閣府規制改革推進会議専門委員。現職は横浜創英中学・高校の校長。

 「社会の変化とこれからの学校―自律と対話」と題して講演した工藤さんは麹町中について、私立中学の受験に失敗した生徒が多く入学する区立中学で、校長着任時はいじめも多く、1学年4クラスのうち2クラスで「学級崩壊」があったことなどを背景に、生徒や保護者、教職員と共に話し合いを進め、生徒たちが主体的に学び、行動する学校教育を目指し変革を実践した事例を紹介。「生きる力を身につける自律した生徒の育成が教育の最上位目標のはず。しかし現状は、そのための手段である学力向上などが教育の目的となってしまっていることが最大の問題」と指摘した。

 自律型人材を育てるポイントとして「失敗が許される環境づくり」「環境に強い脳をつくる」を提示。子どもたちは自己決定を積み重ねることで自己肯定感が高まるとし、主体的に学ぼうとする「エージェンシー」をキーワードに挙げた。その上で、自分を俯瞰(ふかん)的に見てより良い方向へと向かわせる脳科学の「メタ認知能力」を養わせる重要性を説き、「今の教育は、利害対立を対話で解決する能力を身につけさせることが大事」とし、「社会を変えるには教育しかないが、今の日本の教育は社会より遅れている。教育こそが社会をアップデート(改善)する」と強調した。

 同市のヤマガタデザイン運営のキッズドームソライが「ソライスクール教育講演会」として開催。県内各地の教育関係者や子ども連れの保護者、松山中時代の教え子ら約100人が参加したほか、オンライン聴講には全国各地から100人を超える申し込みがあった。

自律型人材育成の重要性を強調した工藤さん
自律型人材育成の重要性を強調した工藤さん



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