2022年(令和4年) 6月9日(木)付紙面より
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サステナブルなパーカー発売
鶴岡市のバイオベンチャー・スパイバー(関山和秀代表執行役)は7日、欧米を拠点にサステナブル(持続可能な)ファッションブランドを手掛けるPANGAIA(パンガイア、本社・米ニューヨーク)と連携し、スパイバーが開発した構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を使ったフーディ(パーカー)を発売した。両社初のコラボ製品。両社は今後も長期的な協業に取り組むとしており、スパイバーの素材を使った製品ラインナップを広げていく。
パンガイアは、環境に配慮した衣料などを最新の素材や技術を取り込んで展開。歌手のジャスティン・ビーバーら世界的な著名人が着用するなど注目を集めている。両社の連携は、化石燃料や動物素材の代替となるバイオ由来素材の開発や使用を目指すという、共通目的から実現した。
今回の製品は、2年以上の期間を費やして開発した。全世界に向けたオンライン販売のフーディは、黒のパーカーで1着395ドル(約5万円)。ブリュード・プロテインを12%、有機栽培によるコットンを88%の割合で使用。150着限定で販売する。
今回の取り組みについて、スパイバーは「全くの新素材を使いこなすことはアパレル製品開発のプロにとっても容易ではないが、パンガイアには高度な技術力と深い科学的知見があった。ブリュード・プロテイン繊維を使用した製品を同社から発売でき光栄に思う」、パンガイアは「スパイバーの画期的な素材を多くの人々が日常に取り入れられるステージが、すぐそこまで来ていることを伝えたかった」とそれぞれコメントしている。
2022年(令和4年) 6月9日(木)付紙面より
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鶴岡市渡前「井上農場」 ロンドン食料品店にコーナー
鶴岡のおいしい米をイギリスの人にPRしようと、つや姫などを特別栽培している「井上農場」(鶴岡市渡前、井上馨代表)が、ロンドン市内の食料品店に農場で栽培した米を出品する。タイトルは「INOUE FARM YAMAGATA FAIR IN LONDON2022」―。今月16日から30日までの約2週間、特栽のつや姫や雪若丸、コシヒカリなどを販売する。同農場の井上夏さん(40)は「ロンドンの人たちが鶴岡産の米をどのように評価して興味を持ってもらえるか、反応を見てみたい」と話している。
産地や食べ方動画で分かりやすくPR
農場栽培米のロンドン出品は、アルケッチァーノの奥田政行シェフを通じて「山形特命観光つや姫大使」を務めたイタリア人のトーマス・プラチディさん、内陸出身の喜志枝プラチディさん(現在はともにイタリア・ペルージャ在住)夫妻と知り合ったのがそもそものきっかけとなった。
昨年1月、ロンドン市内のスーパーで行われた「Yamagata Fair London」に初出店。6日間で直接販売の購買者は約4000人を数えた。今回は井上農場単独の商品を販売する形となり、つや姫をはじめとした県産米の知名度アップを目指す。
出品するのは特別栽培米5品種(2合タイプ?5キロ入り)と、つや姫で作った加工品のポン菓子「つやポン」、それに農場の酒米で仕上げた鯉川酒造(庄内町)の日本酒「別嬪・Beppin」。これらの商品はすでに船便でロンドンへ送った。
フェアを開く食料品店の店名は「naturalnatural(ナチュラルナチュラル)」。ロンドン市内の通りに面した店で店内のコーナーに商品を並べて販売する。米の産地や食べ方が分かるようPR動画を流し、シンプルに炊きたてご飯のおいしさを伝える。
夏さんは「今回のフェアは農場の商品が中心だが今後はユネスコ食文化創造都市の鶴岡市とタイアップし、ほかの農家の人たちが育てた米や加工品も出してみたいな、という思いがある。広くイギリスの人たちに『山形』『庄内』『鶴岡』の食のおいしさをアピールできれば」と見据えている。
【日本国産米に対するロンドンの評価】ヨーロッパ産より数倍高い価格帯であっても日本産米の需要は高いという。他のヨーロッパ諸国と比べて経済水準が高いことが理由の一つに挙げられている。井上農場では、ロンドン市内の高級和食レストランから米の引き合いがあり、今年で3年目の実績を持つ。コロナ禍前にはレストランのシェフたちが井上農場を訪れ、ほ場を視察するなどして交流を深めた。レストランからは「一度使うと他の米は使えない」と高い評価を受けている。こうした背景もあり、井上農場ではフェアを通じて海外に向けて山形や鶴岡の食のおいしさを伝える活動に力を入れている。