2022年(令和4年) 9月13日(火)付紙面より
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庄内一円を巡るサイクリングイベント「第2回じろで庄内2022」が11日、鶴岡市の鶴岡サイエンスパーク駐車場スタート・ゴールで行われた。19年の第1回以来3年ぶりの大会には、地元庄内や県内、全国各地から合わせて約470人がエントリーし、東北地方のサイクリングイベントとしては最長の215キロをはじめ140キロ、75キロの3つのコースに分かれて庄内の自然と食を楽しみながら庄内路を疾走した。
イベントを通じて庄内の魅力発信や交流人口の拡大、サイクリングの普及を図ろうと、庄内地域の有志や企業などで実行委員会(仲川昌夫委員長)を組織し、19年に初開催。コロナ禍で過去2年は開催を見送った。大会名はイタリア全土を舞台に開催されているプロロードレース「ジロ・デ・イタリア」にあやかった。
広大な庄内平野や日本海を望む海岸線、羽黒山や鳥海山の麓などを巡るコースで、ロングライドの215キロに102人、ミドルの140キロに217人、ショートの75キロに150人がエントリー。外国人も参加した。午前6時から同9時にかけコースごとに順次、サポートライダーと共にカラフルなスーツを身に着けたライダーたちがスタートした。
大会アドバイザーのブリヂストンサイクルに所属する自転車競技のオリンピアン飯島誠さんらがゲストライダーとして参加。慶應義塾大自転車競技部のメンバー9人もサポートを兼ねて走り、鶴岡市出身の同大商学部4年で同競技部マネジャーの松田真由子さん(22)も応援スタッフとして加わった。
鶴岡サイエンスパークのほか、コースには11カ所のエイドステーションが設けられ、山ぶどうジュースやだだちゃ豆ジェラート、鳥海ヨーグルト、麦切り、とち餅、肉類など庄内の食の特産品やスポーツドリンクなどを提供し、参加者をサポートした。サイエンスパーク駐車場では一輪車やキッチンカーによる関連イベントもあり、家族連れでにぎわった。
この日の庄内地方は秋晴れに恵まれ、参加者たちはサポートメンバーやスタッフから声援を受け、黄金色に染まった稲穂や青い海を背景にした庄内路を駆け抜けた。夫婦でショートコースに参加した東京都武蔵野市の佐藤冬樹さん(54)、泰野さん(54)は「真っ青できれいな海、稲穂の庄内平野と景色が素晴らしく、だだちゃ豆ジェラートなど庄内の食がとてもおいしかった。次回はぜひ140キロに挑戦したい」と満足そうに話していた。
2022年(令和4年) 9月13日(火)付紙面より
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幕末期の幕臣・山岡鉄舟や高橋泥舟を研究する岩下哲典・東洋大文学部教授の研究報告会「清河八郎と尊攘派幕臣」が10日、庄内町の響ホールで開かれ、清河八郎の先見性などについて解説した。
岩下さんは1962年長野県生まれ。青山学院大文学部卒。国立歴史民俗博物館客員助教授、明海大教授を経て現職。歴史学博士。今回は鉄舟、泥舟の伝記執筆のため両者と親交の深かった清河八郎の調査・研究で庄内を訪れた。
この日の報告会は清河八郎記念館が主催し、県内外の歴史ファンら約200人が参加した。
岩下さんは「清河八郎は『旅する思想家』だと思う。西の吉田(松陰)、東の清河と言われ、武も文も立つ人物だが、松陰に比べ損をしており、あまり知られていない。松陰には藩主の庇護があり、清河にはそれがなかった。また、松陰には有名な弟子がいて、明治以降各分野で活躍したが、清河にはあまりいなかった。松陰に比べ先んじていた部分も多い人物」などと松陰と対比して解説した。
清河八郎が1848(嘉永元)年に関西、56(安政3)年に九州を旅して見聞を高めたことを挙げ、ペリー来航前の動きとして「清河が父親に宛てた手紙を見ると、ペリーが来ることを事前に知っていた可能性が高い。漢学塾や九州諸藩の同志からの情報収集の成果だろう。旅で得た人脈がその後の情報収集や分析に大きな影響を及ぼしたと考える。尊王攘夷派で開明派ではないとされていたが、見直すべきでは。ペリー来航前においては松陰よりも清河の方が一歩先んじており、近代化への志向という点では先覚者」などと紹介した。
来場者はメモを取るなど熱心に聞き入っていた。