2023年(令和5年) 2月2日(木)付紙面より
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再生可能エネルギー発電関連企業による鶴岡市加茂地区での風力発電施設設置計画について、鶴岡市は1日、事業の中止を会社側に申し入れたと発表した。計画地が県内唯一のラムサール条約登録湿地の大山上池・下池に近接しており、市のガイドラインで設置を認めない対象区域に相当すると判断した。会社側は「社内で申し入れ内容を確認し、改めて相談したい」との考えを示したという。
加茂地区の計画は、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、本社・東京)が同市の「八森山」(運転中)と「三瀬矢引」(計画中)に次ぐ3カ所目として昨年、地元などに示していた。加茂坂トンネル南西部の山に、高さ約140―180メートルの風車を最大8基予定。計画に関する風況調査の実施については、周辺の加茂、大山、上郷3地区自治振興会とも同意。一方、自然保護団体などは計画自体の中止を求める署名活動を展開していた。
風力発電施設の設置に関する市ガイドラインを踏まえ、同市は昨秋以降、環境省や県、有識者らに聞き取りし、特にラムサール条約登録湿地に近接している点から「慎重に判断すべき」との助言を受けたという。
皆川治市長が1日、臨時記者会見を開き、同日午前にJREに事業中止を申し入れたことを明らかにした。会見で皆川市長は「市の豊かな自然環境や景観などへの影響の観点から、市ガイドラインの制限対象区域に相当すると判断した」と述べた。申し入れには、法的な強制力はない。