2023年(令和5年) 2月3日(金)付紙面より
ツイート
酒田青年会議所(酒田JC、荒生卓真理事長)は1日、酒田市緑町の酒田JC会館で会見を開き、長く酒田まつり(本祭り・5月20日)のシンボルとして定着していた立て山鉾(やまぼこ)の解体の決定を発表、その経緯などについて説明した。解体は20日(月)に開始する。
立て山鉾は酒田まつり(旧山王祭)で1781(天明元)年ごろから登場。往時は「山王祭に山鉾あり」と言われ、高さ20メートルを超す立て山鉾が巡行したが、電線架設に伴い1906年を最後に消滅した。96年、酒田JCが創立30周年を記念して高さ6メートルの山鉾を披露、2008年には同20メートルを超える立て山鉾を復活させた。現在の立て山鉾「本丸」(高さ22・36メートル)は14年に制作したもので3代目。
その後も修復やデザインの改良を重ね、18年には山形経済同友会制定「第1回未来かがやくやまがた景観賞」で奨励賞を受賞するなどの功績を重ねていたが、20年以降はコロナ禍の影響で神事以外の祭り行事が中止。昨年は山鉾の中心となる鉄骨部分の老朽化のため組み立てを断念していた。
これまでは山鉾の鉄骨、木材部分の外枠、台車などを県酒田海洋センターの倉庫で保管してきたが、「SAKATANTO」の整備に伴い使用できなくなった。現在は酒田地区広域行政組合消防署西分署跡地の倉庫で保管しているが、長くは使用できないという。
さらに鉄骨本体の老朽化が進み安全面を確保できなくなったことや、管理・組み立て費用が多額にかかることから、持続的な設営・管理ができないと判断し、解体決定に至った。
長く山鉾事業を担当してきた岡部覚副理事長は「山鉾を使っての『祭りづくり』という意識の共有が広がりに欠けたことも要因にあると思う。それでもこれまで山鉾があることでたくさんのコミュニティーが生まれた」と。荒生理事長は「解体に残念な気持ちはあるが、JCだけで今後の管理や設営が難しいのが現実。これからは昨年実施した提灯コンテストなどの企画、協賛で酒田まつりを盛り上げていきたい」と話した。
解体前日の19日(日)は午前9時から正午まで、現在の保管場所である西分署跡地の倉庫を開放し、一般公開を行う。