2023年(令和5年) 3月14日(火)付紙面より
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遊佐町沖で進む洋上風力発電事業に関する住民説明会が11日、町生涯学習センターで開かれた。風車の建設想定海域が最短で海岸線から1キロと近いため、発生する騒音や低周波による健康や景観などに対する影響を不安視する意見が相次いだ。事業の推進を容認・要求する立場の住民と声高にやりとりする場面もあり、緊迫した議論が展開された。
説明会は、同事業への理解を深めてもらおうと県、遊佐町が主催。約120人が参加した。県エネルギー政策推進課の大澤修一課長が「地元との協調策などを説明して意見を伺い、事業へのさらなる理解につなげたい」とあいさつした。
同事業に関する議論や環境調査の状況を県や経済産業省資源エネルギー庁、環境省の担当者が説明。「法定協議会とりまとめ」のたたき台を策定中で次回の法定協に示すことを明らかにした。
質疑応答では、風車の離岸距離について「欧州で22キロ以上、中国でも10キロ以上と定められている。それが秋田、山形県沖では5キロ以内と全く逆。海外の例を無視するのか」「風車が建てば町民の9割から見え、ものすごい圧迫感があると思う。建設されれば遊佐町には来ないと言う観光客が多く、町にとっても致命的」など不安を訴える声が出て、先行する秋田県にかほ市の住民からは「秋田の事業はあしき前例になる。秋田の結果を見ながら進めればいいのでは」と提案した。
これらに対し国、県の担当者は「そもそも海外とは海底の深さなど状況が異なる。海岸線から何キロ離せば良いということではなく、この地点で追加騒音などの懸念があれば事業者に計画の是正勧告を行う」「良い景観は人によって違い、客観的に決めるのは難しい」などと回答。町は「引き続き説明を重ねていく」と話している。
遊佐町沖は、事業化に向けた最終段階に当たる「促進区域」指定を国から得るために意見を取りまとめる法定協議会が昨年12月まで計3回開催され、事業推進に前向きな意見が大半を占めている。