2023年(令和5年) 4月5日(水)付紙面より
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外国クルーズ船の受け入れが再開され、6日午前、3年半ぶりに酒田港に第1船が入港する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で寄港が途絶えていた。今年、大型外国クルーズ船の酒田港への寄港が6回予定され、2019年の5回を上回る。地元では外国人観光客に酒田・庄内に好印象を持ってもらうため、高校生ガイドたちが、おもてなしの準備を進めている。
大型の外国クルーズ船は、例えれば町や村の人口がそっくり移動してくる事に似る。大勢の観光客が下船することで経済効果の広がりが期待できる。県や酒田市など官民連携組織は歓迎セレモニーで出迎え、今後の受け入れに弾みを付けたい考えだ。
今年寄港が予定されているのは、6日の「シルバー・ミューズ」(約4万700トン・バハマ船籍)のほか、「ダイヤモンド・プリンセス」(約11万6000トン・英国船籍)、「ル・ソレアル」(約1万1000トン・フランス船籍)の3隻。ダイヤモンド・プリンセスは3回寄港する予定。2回寄港予定のシルバー・ミューズは全客室がスイートルーム仕様の豪華客船という。
待ちかねた外国クルーズ船の寄港に、地元は歓迎準備を進めている。3月末に官民挙げたおもてなし推進組織「酒田交流おもてなし市民会議」によって、ガイド役を務める酒田光陵、酒田西、酒田東、酒田南の生徒と東北公益文科大の学生ら約50人が、英会話と観光施設を案内するための現地研修をした。19年9月、同港への最大級の「MSCスプレンディダ」(約13万8000トン)が寄港した際は、高校生ボランティアが中町モールなどで居合抜きや甲冑(かっちゅう)着付けなどの案内をして観光客を楽しませた。
今年の寄港を前にした研修は「2023ドキドキおもてなしツアー」と銘打つ観光コースを歩き、英会話での案内時のポイントや注意点などを確認した。酒田市内には港町の歴史と伝統を残す相馬樓や山王くらぶ、山居倉庫などの観光コースが多い。随所で展示中のひな人形も、外国人観光客に喜ばれそうだ。
観光庁は25年の訪日客を、過去最多の19年の3188万人の更新を目指し、3大都市圏を除く地方で1人当たりの宿泊を19年の1・35泊から1・5泊に引き上げたい計画だ。消費額も過去最多の19年の4兆8000億円を超える5兆円を目指している。コロナ後の消費拡大への期待が膨らむ。
庄内の観光の追い風になると期待されるのが、観光庁が「自然と文化が両立できる観光」に重点を置いたこと。以前から日本の、特に地方の文化・自然・生活に触れる観光が注目されてきた。3年半ぶりの外国クルーズ再開を、そうした「風土」に触れることができるものにしたい。地元にとっても、「おもてなしツアー」によって、頑張りの再びの見せどころだ。