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2023年(令和5年) 4月6日(木)付紙面より

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考  百条委員会中間報告を読んで

 3月23日の鶴岡市議会本会議で百条委員会の中間報告がされた。報告書は市のホームページで閲覧できる。内容は皆川市長と元支援者間の百万円の授受についての、「確認された事実」の記述にとどまり、見解や判断は述べていない。また市長のいわゆる「パワハラ疑惑」については、元職員の証人喚問を行った事実のみ報告している。

 百万円の授受についてはひとまず置き、今回言及されなかった「パワハラ疑惑」について現状を再確認したい。昨年5月に市職員にアンケートを行った結果、「皆川市長から直接パワハラと疑われる言動を受けた」という申告が、29件あったと発表された。

 問題はここから先だ。パワハラは受けた側の主観で決まるのではない。厚生労働省の定義により客観的に判断しなければならないので、強い叱責がすべて該当するわけではない。29件の中にパワハラ認定されるものがあるのか、あればどの例が該当するのか、百条委は1年近く過ぎても見解を出さずに保留している。

 そもそも「パワハラ疑惑」は百条委設置の契機となった実名告発があった。委員会はそれに加えて一般職員だけでなく、過去5年間の退職者までさかのぼり、1271人にアンケートを取った。この調査方針は正しかったのか。百条委は自ら調査対象を広げすぎて迷走しているようだ。

 またアンケートへの対処方法は適切だったろうか。百条委の初期には第三者に聴き取りを委託する意見があったが、議論の結果採用されなかった。仮にアンケートの直後から第三者が並行して、聴き取りを進めていればと考える。現在は聴き取り調査が終わり、次の判定段階に進んでいたかもしれない。

 一方ではアンケートは一部の市民から、「皆川市長のイメージダウンが目的」と批判されている。批判に応じるためにも、また調査に協力した職員のためにも、いつまでも結論を先送りすることは百条委の信頼性を失わせるだろう。

 参考に自治体の首長が対象になった最近の百条委の例と、最終報告までの期間を別表にまとめた。案件により差はあるが、ほぼ1年半以内に結論を出している。中には大阪府池田市や福岡県福津市のように、案件が絞られると数カ月以内に結論を出している例もある。鶴岡市は1年2カ月を経過しても、まだ最終報告への道筋は見えずこれからの日程は不明だ。

 首長が百条委の対象になるのは、首長と議会が対立する異常事態である。異常事態は一日も早く事実を明らかにして解消するのが、市政と市民にとって最善だ。百条委は本来の使命を忘れず、スピード感を持って取り組んでほしい。

論説委員 小野 加州男

画像(JPEG)



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