2023年(令和5年) 4月7日(金)付紙面より
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山形県で植物の調査を進めているフロラ山形(土門尚三会長)は、県内で初めて鶴岡市下川の山林に落葉低木「ヤブサンザシ」が自生しているのを確認した。高さ約1メートルの株が20株以上見つかった。会員は「これほど群生しているとは思わなかった。なぜ、これまで見つけられなかったのか不思議なくらい。とても貴重」と話している。
ヤブサンザシはスグリ科の植物。雄株と雌株があり春に黄色い花を咲かせ、10月下旬から11月上旬の晩秋に赤く小さな実をつける。北本州産高等植物チェックリスト(東北植物研究会、1991年発刊)によると、自生が確かめられているのは宮城、岩手、青森、新潟。山形を含む秋田と福島の3県は未確認だった。
フィールド調査は今月2日に行われた。フロラ山形の沢和浩事務局長(山形市)や会員、植物に詳しい鶴岡市の有識者ら合わせて6人が参加。下川の山林に群生し、花を咲かせているのを写真撮影した。証拠として一部をサンプリングし標本にした。
今回の発見場所は以前、フロラ山形の会員や有識者がフィールド調査した際、県内では見慣れない植物があることが分かっていた。何の種類か特定できる開花時期を見計らって調査を試みた。
フロラ山形の会員は「コナラやケンポナシがある山林の中にあった。最初はほんの一部だろうと思っていたが、これほど広範囲に自生しているとは予想外。やはり花が咲く時期に目視で確かめないと分かりづらい。初確認したヤブサンザシは『新山形野生植物目録』に記録する」と説明した。