2023年(令和5年) 6月2日(金)付紙面より
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文化芸術活動を支える人材の育成に向けて酒田市は、1日付で東京藝術大学(東京都、日比野克彦学長)と「『アート人財』と『文化・芸術的資源』の活用による人づくり・まちづくりに関する連携・協力協定」を締結した。同大から派遣される研究者が同市で「アートコーディネーター」に関する調査・研究を実施するほか、国指定史跡・山居倉庫(同市山居町一丁目)の整備活用の検討にも協力する。
同協定における「アート人財」は、同大の歴史と実践で育成された多様で多彩な才能のこと。一方、「文化・芸術的資源」は、市内に住む全ての人と文化的施設を指す。
文化芸術の振興をまちづくり・ひとづくりの根幹に据えようと市は2018年3月、市文化芸術基本条例を制定し、同条例に基づき市文化芸術基本計画を策定。市教育委員会は昨年10月、市文化芸術推進審議会(会長・中川幾郎帝塚山大学名誉教授、10人)に対して同計画の事業評価を諮問した。
今年1月に「各機関・組織の間に立って調整できる人材・組織が不可欠。地域に根差した人材資源の確保と調整機能の確立のため、この役割を担える市民コーディネーターの発掘・育成に努めること」との答申を受け、この実現に向けて今回、審議会メンバーに熊倉純子東京藝大教授が名を連ねているほか、いずれも同市出身で写真家の佐藤時啓氏が教壇に立ち、声楽家で市名誉市民の市原多朗氏、シャンソン歌手の故岸洋子氏が大学院を修了するなど縁があり、多くの知見を持つ同大と協定を締結することにした。
協定書によると、連携・協力事項は▽文化芸術活動を行う市民・それを支える人材の育成▽文化芸術活動とさまざまな団体・個人との連携・交流促進▽文化芸術資源を活用したアートによるまちづくり―など。研究者の派遣は7月からの予定で、市内に滞在し調査研究に取り組む。
締結式は実施せずに郵送で書面を交わす。丸山至市長は「藝大の持つノウハウを共有して酒田の文化芸術水準を上げたい。協定を結ぶことができたのは喜ばしいこと」と話した。