2023年(令和5年) 1月11日(水)付紙面より
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昨年創立50周年を迎えた山形交響楽団の酒田公演が9日、酒田市の希望ホールで開かれ、庄内町在住で世界的に活躍するクラシックギター奏者・福田進一さんとの共演などで大勢の聴衆を魅了した。
同楽団は1972年に東北初のプロオーケストラとして発足。山形テルサ、酒田市、鶴岡市での定期演奏会、県内の小中学生を対象とした「スクールコンサート」を開催するなど、年間150回に及ぶ演奏活動を展開。映画「おくりびと」にも出演し、日本を代表するオーケストラの一つとなっている。
27回目となる今回の酒田公演は、ロッシーニ作曲「歌劇・泥棒かささぎ序曲」で幕開け。福田さんとの共演によるロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」のほか、ヨハン・シュトラウス作曲の「こうもり序曲」「春の声」「ピッツィカート・ポルカ」などを披露。重厚で繊細な音色に、会場からは1曲終わるごとに大きな拍手が送られていた。
2023年(令和5年) 1月11日(水)付紙面より
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県内の植物を調査しているフロラ山形会員の大類雄一さん(73)=鶴岡市青柳町=が鶴岡市下川の雑木林で山形県絶滅危惧種IA類CRに指定されている植物「ザリコミ」を発見した。これまで宮城県が北限とされていたが、フロラ山形の土門尚三会長は「今回確認されたことで庄内が北限の自生地にしてもいいと思う」と話している。
スグリ科のザリコミは四国や中国地方東北部の山に自生する。高さは約1メートル。5月から6月にかけて小さな黄色い花を咲かせる。雄と雌が違う「雌雄異株」で雌の木に赤い実をつける。希少性が高く山形県の絶滅の危機にひんしているIA類CR(近い将来、野生で絶滅の危険性が極めて高いもの)に分類されている。
庄内南部の植物調査を担当する大類さんは先月12日、下川の雑木林で希少植物の一つ「エンシュウムヨウラン」を探している途中、赤い実をつけている植物を見つけた。「何だろう」と思い、枝の一部をサンプリング。葉の茎に毛があることから「ザリコミ」と確信したという。その場所には3株が自生していた。
これまでザリコミは宮城と山形の県境で見つかった場所が北限とされている。今回はそれよりも緯度が高いことから北限を塗り替える可能性が高いとみられる。
大類さんは「ザリコミを野鳥に例えると、イヌワシと同じくらい希少性がある。5月に黄色い花を咲かせるか、土門会長と共に発見した場所に行って再確認したい」と語った。
サンプルした枝と実の一部をラミネート加工し標本に仕上げた。下川で見つかったザリコミは、フロラ山形で進めている植物の「新山形県野生植物目録の補正」に記録する。