2023年(令和5年) 1月5日(木)付紙面より
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鶴岡市西目の集落の裏山が崩れ男女2人が死亡した土砂災害で、原因究明に向け県は5日、元日本地すべり学会長の八木浩司・山形大名誉教授とともに現地調査を行う。土砂崩れの規模や現場の地形などを確認するほか、新たな土砂崩れが発生する危険性がないかなどを調べ、今後の安全対策についても検討する。土砂崩れは12月31日未明に発生し、同日朝に現場周辺に出された避難指示は解除の見通しが立っておらず、4日現在、5世帯14人が市内のホテル、2世帯5人が親類・知人宅、1人が福祉施設にそれぞれ避難したままとなっている。市は3日午後、避難者や現場がある上郷地区の自治会関係者への説明会を開催。避難者からは「早く自宅に戻りたい」といった切実な声が上がった。
土砂災害の住民説明会は3日、同市の上郷コミュニティセンターで開かれた。市災害対策本部長の皆川治市長が避難者や上郷地区の自治会関係者などへ災害の概要や避難状況、今後の予定などを説明した。
西目地区の4自治会を含む15自治会の代表者や避難住民など約40人が出席。説明会は冒頭のみ公開され、皆川市長が「亡くなられた2人のご冥福を祈るとともに、年末年始に不安な思いをされている避難者や地元住民の皆さんへ心よりお見舞い申し上げる。二次災害を防止しつつ、避難されている方々が自宅に戻れるよう避難指示の取り扱いについて国や県と連携しながら検討していく」と述べた。
説明会終了後、皆川市長が報道陣に対し「出席者にこれまでの対応状況や今後の見通しについて説明した。出席者のうち避難している方々から『できるだけ早く家に戻れるようにしてほしい』といった要望があった。同時に二次被害がないよう『現場の調査はどうなるのか』といった質問が多かった」と話した。
このほか出席者の中からは「購入したばかりの農機具が全て台無しになり、どうしたらよいか分からない。どういった補償があるのか」、避難世帯から「子どもたちの通学はどうなるのか」といった質問があったという。
現場の調査など今後の予定について皆川市長は「県と連携してこれから協議する。4日の対策本部会議でもできるだけ前に進む方向でいきたい。これ以上の被害が出ないか専門家の意見を聞く必要もある。二次被害の防止と住民の早期の帰還を両立させたい」と話した。
一家5人でホテルへ避難しているという40代男性は市の説明を受けた後、「(災害発生直後は)何が起こったか分からなかった。31日午前2時ごろに警察から避難指示を受け、それからようやく山崩れを知った。足りないものはないが、慣れないホテル暮らしで子どもたちのストレスが問題。できるだけ早く自宅へ戻りたい」と話した。
2023年(令和5年) 1月5日(木)付紙面より
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「遊佐の小正月行事」の一つとして国の重要無形文化財に指定され、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されている奇習「アマハゲ」が3日夜、遊佐町吹浦地区の女鹿(めが)集落で繰り広げられた。
アマハゲは、「浦通り」と呼ばれる同地区の秋田県境に近い滝ノ浦、女鹿、鳥崎の3集落に伝わる行事で、それぞれ元日、3日、6日に行われる。鬼や翁などの面をかぶり、わらみのを幾重にも巻いた姿で奇声を発しながら家々に上がり込み、時には子どもたちを玄関に放り出して勤労を促す。一方、お年寄りの肩をもみ長寿を祈る。山から降りてくる神の化身とされ、住民は酒などを提供しねぎらう。秋田県男鹿地方の「ナマハゲ」と異なり通常、言葉は出さない。
女鹿は約50世帯の集落。前年に不幸があった家庭にアマハゲは上がれず、高齢世帯などはもてなしが難しいなどの理由で今年は十数軒だけが対象になった。午後4時過ぎ、集落の鎮守・八幡神社を出発。太鼓を鳴らしながら中心通りを巡行し、来訪を告げた。
アマハゲの洗礼を受けると健康に育つといわれ、両親や祖父母らは子どもたちをアマハゲの前に。母親の実家に帰省していた秋田県にかほ市の保育園児、石井樹音(じゅね)ちゃん(4)は、伯母にしっかり抱きつきながら「おりこうにします」「いい子になります」と涙声で誓っていた。