2023年(令和5年) 10月9日(月)付紙面より
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鶴岡市黒川の「黒川能の里 王祇会館」の開館20周年を記念する第14回黒川能保存伝承研究会が7日、同館で行われた。観世流能楽師を招き、同じ能演目の上演を通して観世流と黒川能(国指定重要無形民俗文化財)の共通点や違いなどを探った。
王祇会館は、黒川地区に伝わる黒川能を広く紹介する展示機能と、イベントや研修など地域住民の交流、生涯学習の機能を持つ施設として2003年10月4日に開館。中山間地域総合整備事業として国の事業採択を受け、県が事業を代行。後に旧櫛引町が施設譲渡を受けた。同年の「第18回国民文化祭やまがた2003」民俗芸能「能の祭典」の会場となり、全国各地に伝わる著名な能が上演された。
研究会には一般聴講者と黒川能保存会代表理事の皆川治鶴岡市長など来賓合わせて50人余りが出席。開会行事の後、記念講話として元櫛引庁舎支所長の佐藤浩さんが「王祇会館設立当時の思い出」と題し、能の祭典が開催された当時の逸話を語った。
続いて黒川能下座と観世流能楽師シテ方による仕舞(能の一場面を面や装束を着けず、紋服や袴のままで舞う略式上演)の共演が行われた。演目は黒川能下座の「田村」、観世流の「田村」と同演目が行われ、さらに下座「岩船」、観世流「三輪」の順で舞われた。
能「田村」は、平安期の公卿・坂上田村麻呂(さかのうえたまむらまろ)の鈴鹿山鬼退治を題材とした演目で、ゆったりした動きの黒川能と、激しく動く観世流の違いに出席者たちは食い入るように舞台を見つめていた。
上演後、観世流能楽師シテ方の清水義也さんが「黒川能との出会いから今思うこと」と題して講演。清水さんは小学6年生で一人旅をし、鶴岡市の荘内神社で奉納された黒川能との出会いなどエピソードに触れながら、「黒川能と観世流の最大の違いは、黒川能が農村地区で伝わり神様へ奉納する舞として伝わってきたことに対し、観世流は江戸期に武士の間で舞われたこと。武士が観る観世流は勇壮であり、武士道を重んじている。能楽師は『己との戦い』を意識し、技を磨き伝承してきた」と解説した。
また、「神様への思いを込めた黒川能も芸としての豊かさがある。心を大事にして能を舞う姿は黒川能も観世流も共通している。そうした思いが文化の継承につながる。皆さんも黒川能を伝えていく心が大事ということを忘れないでほしい」と述べた。
2023年(令和5年) 10月9日(月)付紙面より
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酒田市八幡総合支所は8日、鳥海山(2236メートル)の今季の初冠雪を観測したと発表した。昨年より2日遅く、平年より2日早い観測という。
酒田測候所が無人化された2009年10月以降、平場の同市観音寺にある同支所から職員が目視で観測し、発表している。この日は朝からきれいに晴れ渡り午前8時ごろ、山頂付近がうっすらと白くなっているのを職員が確認。木の枝に水蒸気が付いて凍る「霧氷」などでないことから「初冠雪」を発表した。
2023年(令和5年) 10月9日(月)付紙面より
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鶴岡市の「子ども夢スポーツフェスティバルin鶴岡2023」が8日、同市山田のJA鶴岡だだちゃアリーナで開かれた。子どもたちがキッズチャンバラや大玉転がしなど10種目のニュースポーツに挑戦した。
「スポーツの日」(9日)に合わせて、市と市教育委員会などが毎年、子どもたちの心身の健康づくりとスポーツの普及などを狙いに開催している。
午前10時の開場とともに、300人余りの家族連れやスポ少団員が会場入りし、1時間ほどで同アリーナ駐車場が満車となるほどの盛況。メインの「ニュースポーツに挑戦」はストラックアウトや大玉転がし、キッズチャンバラなど10種目が用意され、スタンプラリー方式で行われた。
このうちバスタボーはネットを挟んだ対戦競技。2人一組でバスタオルの両端を持ち、ゴム製ボールを相手コートに飛ばすバレーボールのようなポイント制で、2人の息が合っていないとうまく球が飛ばない。
さらに球を飛ばす時はタオルを張り、受ける時はたわませるなど技術も必要となる。公式ルールは4人制だが簡易の2人制で親子や友達同士が挑戦した。
バスタボーに挑戦した、いずれも朝暘五小4年の永澤藍稟さん(10)と松村祐貴也君(10)は「息を合わせれば球を飛ばすのは難しくなかった。次はチャンバラに挑戦したい」と話していた。
2023年(令和5年) 10月9日(月)付紙面より
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鶴岡市のあつみ温泉で7日、「お湯輿(ゆこし)まつり」が行われた。法被を身に着けた地域の男性が神輿(みこし)を担いで温泉街を練り歩き「温泉の恵み」に感謝した。
「あつみ温泉魅力づくり推進委員会」が県内外に温海の魅力を伝えようと始めた。今年で6回目。朝市広場にある温泉神社であつみ小の子どもたちが巫女(みこ)舞を奉納、子ども神輿を先頭に男衆約30人が神輿を担いで温泉街を巡る「お湯輿巡業」に出発した。
まつりのクライマックスは「お湯かけ」。温泉街中心部の足湯・あんべ湯に到着すると、待ち受けた住民や宿泊客が神輿と男衆にお湯をかけ続け「あつみ温泉」の発展を願った。夜には花火が打ち上げられ、温海の夜空を彩った。
2023年(令和5年) 10月9日(月)付紙面より
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庄内町立川地域の自然を楽しみながら秋の庄内の味覚を満喫する「月山龍神マラソン」が8日、同町の清川―立谷沢地区で開かれた。県内外から参加したランナーらが立谷沢川沿いの自然を楽しみながら健脚を競った。
月山龍神マラソン大会実行委員会(阿部武敏委員長)が企画。日本百名山の月山と、その麓を流れ、環境省の平成の名水百選にも選ばれた立谷沢川など、立川地域の大自然を感じながら、同町の秋の味覚を味わい、地域住民と交流を深めるマラソン大会として2016年から行われている。毎回県内外から大勢のランナーが参加している人気イベント。今年で8回目。
今回は新設された小学校低学年の部(1・2キロ)、コロナ禍のため2大会ぶりに再開された親子ペアの部(1・2キロ)のほか、3キロ、5キロ、10キロ、ハーフマラソン(約21キロ)の6コース。地元庄内町をはじめ、県内各地や東北6県、関東圏、香川県などから612人がエントリーし、地元住民を中心に約250人のボランティアらが大会運営を支えた。
開会式では大会長の富樫透町長が「全国各地から大勢のランナーに集まってもらった。庄内の味覚とともに一日大いに楽しんでほしい」と激励。開会式後の午前8時45分、号砲とともにハーフマラソンがスタート。清川地区に勢いよく駆け出すランナーに、沿道に詰め掛けた観客から大きな声援が送られていた。一方、母親が旧立川町出身の男子マラソン元日本記録保持者で世界陸上やリオ五輪にも出場した設楽悠太選手(西日本鉄道所属)がゲストランナーとして10キロコースに出場し、大会を盛り上げた。また、再開された親子ペアには33組がエントリー。手をつなぎ、互いに励ましながらゴールを目指していた。
参加したランナーには記念品として漬物などが入った「庄内町特産品セット」がプレゼントされたほか、庄内風の芋煮や新米の食べ比べなどが振る舞われた。