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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 11月24日(金)付紙面より

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伝統工法で修復作業 間近に 史跡「旧鐙屋」ワークショップ 組み立て体験も 町屋造り理解深める

 耐震補強と併せて大規模な修復工事のため2020年10月から休館している酒田市の国指定史跡「旧鐙屋(あぶみや)」で23日、ワークショップ「旧鐙屋を作ろう」が開かれ、参加した親子連れが施工に従事する大工の技術を間近で見学するとともに、組み立て作業を体験。町屋造りの構造に理解を深め、木の持つ素晴らしさに触れた。

 鐙屋は江戸初期の1608年、山形藩主・最上義光から屋号を与えられ、寛永年間(1624―44年)には酒田町年寄役となり、酒田三十六人衆の筆頭にも数えられた。繁栄ぶりは井原西鶴「日本永代蔵」に「北の国一番の米の買入れ、惣左衛門といふ名をしらざるはなし」と紹介された。

 現在の建物は1845年4月の「甘鯛火事」で被災後、再建されたもの。野地板の上に杉皮を敷き、それを石で押さえた「石置杉皮杉葺屋根」は風が強い風土に根差した、酒田の典型的な町屋造りとされる。1984年5月に国史跡に指定された。86年には所有者の鐙谷家から市が土地・建物を取得し、翌年から一般公開。日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落」のストーリー構成文化財の一つに名を連ねる。

 90年度から8カ年をかけて建物全体の大規模改修を実施。前回の改修から20年余が経過し、専門家から震度5以上の地震で倒壊する可能性が指摘されている上、2019年6月の本県沖地震では柱や梁(はり)に亀裂が入った。今回の大規模改修では、傷みが激しい屋根全面約700平方メートルをふき替え。さらに屋根の軽量化、土壁の一部構造用合板置き換え、基礎の新設、柱の折損防止措置といった耐震補強を施している。一般公開の再開は26年中を見込む。

 ワークショップは旧鐙屋に理解を深めてもらおうと、市が初めて企画。この日は庄内地域一円から親子5組13人が参加、施工を担う地元の仲條建設(門田)とモトタテ(宮海)の社員たちが講師を務めた。富樫憲人モトタテ社長が最初、くぎなどを使わずに木と木を接合させる「継手」「仕口(しくち)」を紹介し、子どもたちだけでなく、お父さん、お母さんもパズルのような伝統工法に目を輝かせていた。

 また、カンナを使ってヒノキ材を削る体験では、社員から「手ではなく、腰ごと引く感じで」などと指導を受け、周囲に木が持つ柔らかな芳香を漂わせていた。父母と共に参加した鶴岡市の上野龍明君(11)=朝暘三小6年=は「世界の建築物に興味があり、工事前に一度だけ入ったことがある。カンナ掛けは初めての体験で、軽々と削る職人さんはすごいと思った」と話した。

 主催した市文化政策課によると、来年2月には屋根のふき替え作業に関するワークショップを予定しているという。

社員たちの指導でカンナ掛けに挑戦する子どもたち
社員たちの指導でカンナ掛けに挑戦する子どもたち


2023年(令和5年) 11月24日(金)付紙面より

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就職活動控え地元企業訪問 公益大で見学会視野広め認識深める

 東北公益文科大学(酒田市)の学生を対象にした企業見学会が22日、庄内3市町で行われた。来年、就職活動を控える3年生を中心に10人が参加し、地元企業について認識を深めた。

 庄内地区商工会広域連携協議会(会長・上野隆一出羽商工会会長)が若い人材の地元就職につなげようと公益大生を招き、今回は▽ウエノ三川工場(三川町猪子)▽板垣水道(鶴岡市長沼)▽グローバルマシーン(庄内町余目)―の3社を訪問した。

 このうち、車や携帯電話の検査装置などを設計から加工まで一貫製造しているグローバルマシーン(三浦勝広代表取締役社長)では製造部の佐藤雅輝課長の案内で工場内を見学。上と横から加工できる最新鋭の「五面加工機」などを間近に見て回った。

 三浦社長は「お客さまに信用と感動を与えることが弊社の理念。今後100年続く企業を目指している」と学生に語った。

 宮城県出身の佐藤真純さん(3年)は「普段、工場内に入って見ることはできないので、とても新鮮だったし視野が広がった」と感想を話した。

「1000分の1ミリ単位の仕事をしている」と工場内で佐藤課長(右)の説明を受ける公益大生=グローバルマシーン
「1000分の1ミリ単位の仕事をしている」と工場内で佐藤課長(右)の説明を受ける公益大生=グローバルマシーン


2023年(令和5年) 11月24日(金)付紙面より

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年長児がサツマイモ販売 自ら収穫“マルシェ”開く 宮野浦保育園

 酒田市の宮野浦保育園(河村千穂園長、園児57人)の園児たちが収穫したサツマイモを販売する「さつまいもマルシェ」が17日、酒田市役所で開かれ、年長園児たちが売り子として市民と交流した。

 同園では今年、園児の食育活動を目的に同市宮野浦のサツマイモ生産者「サンサンファーム」を運営する阿部一幸さんの協力で、200平方メートルの畑でサツマイモを栽培。園児たちは阿部さんや先生たちから教わりながら苗植えや草むしりを頑張り、先月計約400キロのサツマイモを収穫。宮野浦産のサツマイモを多くの人に知ってほしいと、収穫したサツマイモを市役所1階の交流サロンで販売することにした。

 この日は年長園児6人が参加。園児たちは市役所を訪れた市民らに向かって「どうぞ」と元気よく声を掛けながら、試食用のサツマイモや用意した折り紙などを手渡し。受け取った市民らは園児のかわいらしい姿に笑顔でサツマイモを買い求めていた。

 サンサンファームの阿部さんは「農業体験に関わったのは初めて。子どもたちの体験を通して、自分も『食育』について考えるきっかけになった」、売り子を体験した佐藤瑠依(るい)君(6)は「芋掘りを頑張ったのでみんなに買ってもらえてうれしい」とそれぞれ話していた。

 準備した100袋のサツマイモは飛ぶように売れ、約30分で完売。河村園長は「昨年まで園内の小さな畑で実施していたが、広い畑を使わせてもらったことで子どもたちが伸び伸びと苗植えや芋掘りに取り組んでいた。いい経験になったと思う」と話していた。同園によると、販売収益は絵本の購入や遠足の費用に充てるという。

サツマイモを手渡す園児
サツマイモを手渡す園児


2023年(令和5年) 11月24日(金)付紙面より

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若い感性 アイデアあふれ 地元アランマーレを応援 酒田光陵高ビジネス流通 「デュアルシステム」成果を発表

 「アランマーレ山形のホームゲームを盛り上げよう」をテーマに、酒田市の酒田光陵高校ビジネス流通科3年生39人が、同市のプレステージ・インターナショナル山形BPOパークの協力で取り組んだ教育プログラム「デュアルシステム」の成果発表会が22日、校内で行われ、若い感性で築き上げたアイデアあふれる周知・運営の方法を生徒たちが次々と発表した。

 同社は、社会人としての基本ビジネススキルとコミュニケーション能力を身に付けてもらうとともに、地元企業で働く楽しさ・やりがいを知ってもらい、若者の県外流出に歯止めをかけようと、光陵高とパートナー協定を結び2018年から同プログラムを繰り広げている。

 本年度は6月に開講、夏休みを挟み今回の報告会まで計十数回、生徒たちは9、10人ずつ4グループに分かれ、同社社員の指導でバレーボール・Vリーグ女子1部のプレステージ・インターナショナルアランマーレのホームゲーム(11月11、12日・鶴岡市小真木原総合体育館)を盛り上げる方法を模索してきた。

 発表会では藤田雅彦校長、同社社員、同科1、2年生が見守る中、グループ別に▽若者向け広報▽家族連れ向け広報▽当日の企画・運営―をテーマにそれぞれ発表。「当日ヒロイン」と題して試合日、会場に掲げる応援フラッグ(縦、横とも1・8メートル)の制作などに取り組んだ班は、その過程を紹介する動画も完成させて上映。フラッグには矢口明子市長、酒田舞娘(まいこ)はじめ多くの市民がメッセージを寄せたほか、動画ではバレーを題材にしたアニメ「ハイキュー!」の主題歌を許可を得て使用した。生徒たちは「いずれも時間に余裕がなく、もっと早く取り掛かるべきだった」と反省点を述べる一方、「フラッグ、動画ともイメージ通りにでき、会場でも好評だった」と話した。

 取り組んだ生徒の一人、土田昴太郎さん(17)は「周知に向けたポスター制作を担当したが、どうしたら多くの人が見てくれるか考えながら作った。今回の経験をこれからに生かしたい」と話した。

アランマーレのホームゲームを盛り上げるための方策を紹介する生徒たち
アランマーレのホームゲームを盛り上げるための方策を紹介する生徒たち


2023年(令和5年) 11月24日(金)付紙面より

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高山樗牛賞 創作活動さらに精進を 奨励賞の阿部さん(酒西高2年)近藤さん(酒東高3年)表彰

 第66回(2023年度)高山樗牛賞の授賞式が21日、鶴岡市のグランドエル・サンで行われた。本年度の樗牛賞は該当者がなく、小中高校生対象の奨励賞を受賞した酒田西高2年の阿部未羽(みはね)さん(17)と酒田東高3年の近藤安珠(あんじゅ)さん(18)の2人に賞状などが贈られた。

 高山樗牛賞は、歴史小説「滝口入道」などで知られる庄内が生んだ明治の文豪・高山樗牛(1871―1902年)の偉業を顕彰し、地方文化の向上を目的に出身地の同市教育委員会が1958年に制定した。樗牛賞の該当者なしは2年連続10度目。奨励賞は文芸・評論・作文などで優秀な作品を発表した庄内地方の小中高校生に贈られる。

 授賞式には受賞者と学校関係者、選考委員、来賓など合わせて約30人が出席。布川敦教育長が高校の生徒の部で受賞した2人に賞状と記念のメダル、受賞者が在学する両高校へ記念の盾をそれぞれ手渡し、「今後も創作活動をいっそう楽しむことを通して将来につなげていくことを期待する」と式辞を述べ、皆川治市長がお祝いの言葉を述べた。

 式後、受賞者がそれぞれ自分の作品を紹介するとともに、阿部さんは「来年はこれまで以上により良い作品が書けるように頑張りたい」、近藤さんは「これからも書きたいことをありのままに書き、私の作品が誰かの背中を押すようになれれば、うれしい」とスピーチした。

 阿部さんは、人型ロボットなどの様態があまりにも人間に近くなると、見る人に違和感や嫌悪感を抱かせるとされる「不気味の谷現象」に発想を得た、小説「蓋」を創作。ロボットが人間に近づいていく様子と主人公のロボットに対する心情の変化を巧みに表現し、人間が利便性を求めて進化させたロボットとの向き合い方を考えさせる、豊かな想像力と表現力が評価された。

 近藤さんは、同年代の主人公が自分の将来と向き合い、悩みながらも周囲の人たちとの関わりを通して成長していく様子を描いた、小説「サマーメモリー」を創作。母や祖母などの登場人物像を鮮明、丁寧に描き、主人公の飾らない日々を細やかな情景描写や行動描写でつづり、巧みな表現力と構成力が評価された。

高山樗牛奨励賞の表彰を受けた阿部さん(左)と近藤さん
高山樗牛奨励賞の表彰を受けた阿部さん(左)と近藤さん



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