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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 9月30日(土)付紙面より

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ラムサール条約湿地 大山・下池産 天然レンコンはいかが 30日「ほとりあ」で販売 細くて長い自然のままの形状

 水鳥の生息地に関わる国際的に重要な湿地として「ラムサール条約」に登録されている鶴岡市大山地区の下池で、レンコンの収穫が行われている。水田などで栽培されている品種改良したものと違い、細く長い刀のような形状の地下茎は古くから存在した自然のままの姿を残している。収穫したレンコンは30日午後1時から、下池近くの鶴岡市自然学習交流館ほとりあ館内で販売する。

 江戸期から続く同地区の本町浮草組合(田中富雄組合長、組合員30人)は、毎年8月のお盆前に上池、下池でハスの花や葉を採取し、地元住民が直売所で買い求めている。秋に行っているハスの根茎であるレンコンの収穫は、以前は上池が中心だったが昨年から下池に替えた。

 今シーズンは今月23日に収穫がスタート。29日は田中組合長(72)が午前8時半ごろから小舟に乗り込み、水面のハスの葉を目印に池の底からレンコンを引き揚げる作業を繰り返した。水中のレンコンを櫂(かい)や手で探り当て、舟の上まで引っ張ると3メートルを超すほど細長い地下茎が姿を現した。

 田中組合長は「今年は暑かったから収穫時期がやや遅れた。引き揚げはこつがあり、先輩から教わった当初は1本収穫するのに2時間もかかった」と笑い、「品種改良のものより地下茎は肥大していないが、柔らかく自然の味が詰まっている。きんぴらにすると最高」と話していた。収穫は渡り鳥が飛来する直前の10月上旬まで行われる。

 上池、下池のハスに関しては、浮草組合とほとりあ、市立加茂水族館のレストラン「魚匠ダイニング沖海月」の3者が連携した「大山上池・下池の湿地の恵み活用事業」が昨年度スタート。浮草組合が収穫したハスの実やレンコンを使い、沖海月が創作料理を考案、提供している。

 この取り組みにより組合の伝統継承、地域資源の食への活用と情報発信を図る。また、水中でレンコンが増えすぎると酸欠になりハスの不作につながるため、レンコンの収穫は池の環境保全につながるという。

水面のハスの葉を目印に、田中組合長がレンコンを舟の上に引き揚げた
水面のハスの葉を目印に、田中組合長がレンコンを舟の上に引き揚げた


2023年(令和5年) 9月30日(土)付紙面より

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酒田市 功労表彰6個人たたえる

 酒田市は28日、市表彰条例に基づく功労表彰を県建設業協会酒田支部長など歴任した高橋幸雄氏(76)=下安町、前酒田商工会議所会頭の弦巻伸氏(76)=東大町三丁目、前市自治会連合会連絡協議会長の阿部建治氏(76)=南新町一丁目、地域医療連携推進法人・日本海ヘルスケアネット理事の矢島恭一氏(76)=本楯、前市社会福祉協議会長の阿部直善氏(72)=北新町二丁目、同市山谷出身の彫刻家、石黒光二氏(71)=埼玉県所沢市在住=の6個人に贈ると発表した。表彰式は11月2日(木)午前10時から同市のベルナール酒田で行われる。

 広く公共の福祉、市勢の発展に尽くして功労が顕著で市民の模範となる人を表彰する制度。

 産業振興功労の高橋氏は2000年に県建設業協会酒田支部長に就任し、経営の合理化、技術力の研さんに関する指導に従事するなど豊富な知識と経験を生かし、地域の建設業界を長年にわたってけん引。16年11月から昨年3月までは酒田商工会議所副会頭。

 同じく産業振興功労の弦巻氏は2016年11月に酒田商工会議所会頭に就任し、新産業会館建設など長年にわたって商議所運営に尽力。酒田交流おもてなし市民会議の発足に携わるなど、交流人口の拡大や地域産業の振興、共生社会の推進にも尽くした。

 住民自治功労の阿部建治氏は2017年、市自治会連合会長と市自治会連合会連絡協議会長に就任、豊富な知識と強い責任感で地域住民のため力を尽くした。地域コミュニティ組織と市の協働によるまちづくりを推進するために先導的な役割を果たした。

 矢島氏は保健・衛生功労。地域に根差した福祉と医療の向上のため先導的な役割を果たし、地域包括ケアシステムの実現に向けて在宅訪問診療の充実を図るとともに、医療従事者への指導など意欲的に取り組んでいる。酒田地区医師会十全堂副会長なども歴任。

 阿部直善氏は社会福祉功労。2013年に市社会福祉協議会長に就任し以来、住民主体の支え合い活動を実践するなど地域福祉のリーダーとして尽力。18年には市社会福祉法人連絡会議を発足し、法人相互の連携と協働を目指す土壌作りに取り組んだ。

 石黒氏は文化・芸術振興功労。多摩美術大在学中に同市出身の彫刻家、故高橋剛氏に師事し、これまでに日彫展西望賞、日展内閣総理大臣賞など受賞した。平田地域を中心に設置されているブロンズ作品の数々は自然や人々の暮らしに溶け込み、市民に親しまれている。

左から阿部建治氏、弦巻伸氏、高橋幸雄氏
左から阿部建治氏、弦巻伸氏、高橋幸雄氏

左から石黒光二氏、阿部直善氏、矢島恭一氏
左から石黒光二氏、阿部直善氏、矢島恭一氏


2023年(令和5年) 9月30日(土)付紙面より

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新田産業奨励賞に2社1団体 酒田市

 酒田市は28日、市が制定する本年度の「新田産業奨励賞」を東洋開発(本町一丁目、櫛引柳一代表取締役社長)、原田瓦工業(広栄町一丁目、原田誠代表取締役)、JA庄内みどりケイトウ専門部(佐藤広幸専門部長)の2社1団体に贈呈すると発表した。授賞式は11月6日(月)午前11時から同市のガーデンパレスみずほで行われる。

 平田牧場グループ会長の新田嘉一氏(89)=楢橋=による多額の寄付をもとに基金を造成して1990年に創設、先進的な取り組みで地域産業の振興に貢献し、他の模範となる市内の企業・団体・個人を顕彰。新市誕生後の2006年、旧平田町で行われていた同様の制度を合わせ一本化した。

 東洋開発は1994年の創業。同市を中心とした不動産業の他、保険のプロフェッショナルとして幅広い角度から顧客のサポートを行っている。女性活躍の環境整備に努め、誰もが働きやすい職場づくりの積極的な推進で、さまざまな制度認定を受けている。

 原田瓦工業は1894年に創業し、屋根葺き・修繕工事業を営んでいる。使用済み瓦の多くが埋め立て処分となっている現状を改善し、廃棄物を再び収益を生む素材として再生させる新たな事業に成功。さらに素材の新たな活用方法を模索している。

 ケイトウ専門部は2014年の設立。仏花としての用途がメインだったケイトウを、生け花やフラワーアレンジメントなど商材としての需要が得られるようにハウス栽培の特色を生かして色鮮やかで高品質な規格を構築。オリジナル品種の開発にも取り組む。

左から佐藤広幸氏、原田誠氏、櫛引柳一氏
左から佐藤広幸氏、原田誠氏、櫛引柳一氏


2023年(令和5年) 9月30日(土)付紙面より

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飲酒機会が増える季節になった

 おいしいもの満載の実りの秋は行楽の季節。そして、飲酒の機会も増えてくる時期だ。しかし「飲んだら乗るな」の鉄則を守れない飲酒運転が一向になくならない。県警の調べによると今年8月末時点の、県内の飲酒運転検挙者は120人。昨年同期と比べて1・3倍に増えた。検挙された83%が運転免許証の取り消し処分を受けた。生活が一変したはずだ。

 飲酒と酔い方には個人差がある。たいがいはビール1本、日本酒1合で陽気になる。しかし、その量のアルコールが体から抜けるまで約5時間。「これぐらいなら大丈夫」といってハンドルを握るのは、既に正常な判断力を失っている証し。酒の怖さである。

◇      ◇

 検挙された120人が酒を飲んだ場所は「居酒屋」が半数の46%を占める。「自宅」が26%、「車の中」でが11%もある。車の中でとは、帰宅するまで我慢ができなかったということだろうか。「警察に捕まらないと思った」「事故を起こさないと思った」が合わせて84%。飲酒運転することを、いかに自分に都合よく考えているかということを、数字が示している。

 鶴岡市内で週末に運転代行車の予約が困難な状態が続いているという。新型コロナの5類移行後、飲食する人の動きが活発になったものの、コロナ禍の間に運転代行のドライバーだけでなく、代行車の台数も減った。この影響で週末になると2時間から3時間待ちが当たり前になった。飲酒運転につながる事だけは避けてもらいたい。

 8月末現在の、庄内の飲酒運転摘発数は、鶴岡市が前年同期比1・6倍の17人、酒田市は1・4倍の8人と増えている。検挙者は土曜日と日曜日に多く、20代から60代まで平均している。一方、遊佐町は2018年に免許人口1万人当たりの検挙者が、県内の市町村で2番目に多い6人いたが今年8月時点で0人。交通安全意識の高まりの結果であろう。ただ、飲酒運転の検挙者は氷山の一角と思われる。たまたま見つからなかっただけで、常習者がいることも考えられる。

◇      ◇

 飲酒運転のペナルティーは大きい。酒酔い運転は5年以下の懲役か100万円以下の罰金、酒気帯びでもそれぞれ3年以下か50万円以下。免許取り消しか長期停止処分もあり、事故を起こせば多額の損害賠償を負う。家族だけでなく、近隣住民からの視線にさらされるだろうことを考えれば、答えは「飲んだら乗らない」に尽きる。

 鶴岡市内の若いグループで、酒を飲まずに送迎役となる「ハンドルキーパー」を決めているケースもあるという。都市部のように公共交通機関が整備されていない地方は、車に頼らざるを得ない。だが飲酒運転で検挙された後の、運転できない期間の自身の生活の“損失”を考えれば飲酒運転は厳禁。後悔先に立たずを肝に銘じたい。

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2023年(令和5年) 9月30日(土)付紙面より

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最新のがん研究成果発表 国内外から集い鶴岡カンファレンス

 がんにおけるエピジェネティクス(遺伝子周辺の環境変化)研究分野で国際的に活躍している研究者が集まり、最新の研究成果を発表する「鶴岡カンファレンス(会議)2023」が28日、鶴岡市覚岸寺の市先端研究産業支援センターレクチャーホールで始まった。30日まで3日間にわたり、国内外の研究者23人が発表し、それぞれの内容について意見を交わす。

 庄内地域産業振興センター主催、国立がん研究センター、慶應義塾大先端生命科学研究所共催。研究者たちによる学術的な議論を通し、がん代謝研究をはじめ抗がん剤や免疫などがん研究のさらなる発展、研究ネットワークの構築などを目的に開催した。

 今回のテーマは「Roles of epigenetic factors in cancer」(がんにおけるエピジェネティクスの法則)。本来、遺伝子の構造変化ががんを引き起こすものと理解されている。しかし近年の研究では、遺伝子周辺のタンパク質などによる環境変化ががんの発生に関わっていることが判明している。このタンパク質に多く含まれる酵素の働きを阻害することで、がんの治療の一助となる可能性が指摘されており、エピジェネティクス関連因子の役割を明らかにすることで新たな治療薬開発につながることが期待されている。

 初日の28日は現地参加の約20人のほか、オンライン参加もあった。セッションは全て英語で進められ、会議全体の世話人を務める国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点チームリーダーの横山明彦さんをはじめ、国内の研究者5人と米国の研究者3人がそれぞれの研究成果を発表した。

 各発表の後は質疑応答が行われ、参加者と発表者が盛んに意見を交わし合った。3日間で総参加数は約100人になるという。

遺伝子周辺の環境変化とがんの関わりについて国内外の研究者が意見を交わした=28日
遺伝子周辺の環境変化とがんの関わりについて国内外の研究者が意見を交わした=28日



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