2024年(令和6年) 1月9日(火)付紙面より
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誤嚥(ごえん)リスクが高かったり、食べ物をかんで飲み込むことが難しい人のために作られた「嚥下(えんげ)食」による誕生会が4日、鶴岡市日枝のサテライト老健のぞみで開かれた。地元の食材を用い、食べやすいように工夫された刺し身の舟盛りや和洋折衷おせち料理、誕生日ケーキなどが、同施設で102歳の誕生日を迎えた入所者とその家族に提供された。
昨年11月から始まった嚥下食プロジェクトの一環で、市内の医療関係者や料理人などでつくる「鶴岡食材を使った嚥下食を考える研究会」に所属の「ブランブランガストロパブ」(末広町)の五十嵐督敬さん(38)、「日本料理わたなべ」(野田目)の渡部賢さん(46)の2人が協力し、施設を運営する老人保健施設のぞみの園の管理栄養士や歯科衛生士、言語聴覚士などの医療福祉の専門職らと協働した。
食材を細かくすりつぶした上で改めて成形したり、とろみをつけるなど、食べやすさと見た目の良さの両方を追求して仕上げられた料理に、主役の服部朝子(ともこ)さんは満面の笑みで喜びを表した。この日、東京から面会に来た孫の藤原綾子さんは「テレビで同施設の嚥下食プロジェクトを知り、相談したところ快諾いただき感謝。地元庄内の食べ物が大好きな祖母のために協力してくれた皆さんの温かい気持ちがうれしい」と喜んでいた。
同施設の看護師・高山典子管理課長は「食事すると熱発し、ゼリー状の食べ物しか摂取できない状況が続いていたため、リスク管理に不安はあったものの、できる限りのおもてなしがしたかった」と話した。同研究会による嚥下食の提供は、「うしお荘」「ブランブランガストロパブ」「日本料理わたなべ」「ナチュラリテ」の4店舗で予約可能という。