2024年(令和6年) 2月10日(土)付紙面より
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鶴岡市民俗芸能交流発表会が4日、同市の荘銀タクト鶴岡(市文化会館)で開かれ、市内の6団体がそれぞれの地域で伝承している芸能を披露した。
市内各地域で継承されている伝統芸能を地域の枠を超えて多くの市民に知ってもらうとともに、貴重な伝統文化を次世代につなげるため各保存会の担い手同士の交流を図ろうと、市教育委員会が2019年度から開催している。今回は鶴岡地域の上日枝神社の獅子舞(上日枝神社獅子舞保存会)、大山いざや巻(大山いざや巻保存会・キッズ華の会)、山王様の獅子舞(日枝神社獅子舞社中)、加茂泊町大黒舞(加茂泊町大黒舞保存会)、いずれも県指定無形民俗文化財の羽黒地域の高寺八講(高寺八講保存会)と温海地域の山五十川歌舞伎(山五十川古典芸能保存会)が出演。東北文教大学人間科学部の菊地和博特任教授が、それぞれの芸能の特徴などを紹介した。
このうち江戸中期に伝えられたという山五十川歌舞伎は、タクトでは初の芝居披露となった。座長の鈴木金右エ門さん(68)は「舞台の広さに圧倒されたが、大きな舞台での公演は役者のモチベーションアップとなり、今後の活動へのエネルギーにもなった。普段はなかなか見ることのできない郷土芸能を一堂に会して演じることは、それぞれの団体の刺激にもなると思う。共演できて良かった」と話した。
大山地区のいざや巻は、16世紀の武藤氏統治時代に教え広められたとされ、せりふを交えながら踊る。出演した鶴岡南高2年の松田紗和さん(17)は「小学5年で保存会に入った。本番ではみんなが緊張しつつも練習の成果が出せて良かった。いざや巻は地域の宝。歴史ある伝統芸能をもっと多くの人に知ってもらい、これからも残していきたい」と語った。
解説の菊地さんは「出演した各団体の芸能を見て感動した。民俗芸能は地域に潤いと彩りを添えてくれるものでもあり、なくしてはならないものだと、会場の皆さんと共に確認できた。地域文化を担っている方々への支援を今後ともお願いしたい」と話していた。