2024年(令和6年) 2月17日(土)付紙面より
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酒田市黒森地区に伝わる農民芸能「黒森歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)の正月公演が15日、同地区の日枝神社常設演舞場で上演された。県内外から大勢の歌舞伎ファンが訪れ、地元役者の名演を楽しんだ。
黒森歌舞伎は江戸時代中期の享保年間(1716―35)から地区住民による妻堂連中(五十嵐良弥座長)が黒森地区の鎮守・黒森日枝神社の神事の一環として連綿と受け継いできた。正月公演は寒さの厳しい2月中旬に上演されることから「雪中芝居」と呼ばれている。
今年の本狂言「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」は、1993年以来30年ぶりの上演となる。日本駄右衛門と弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸の盗賊5人組の活躍を描いた人気の演目。今回は弁天小僧の「知らざあいって聞かせやしょう」という名台詞で有名な「雪ノ下浜松屋の場」と「奥座敷の場」、「稲瀬川勢揃いの場(通称・白浪五人男)」の2幕を上演し、浜松屋の場と奥座敷の場は黒森歌舞伎としては初演。
この日は本狂言の前に黒森小4―6年生9人が少年歌舞伎「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」の「吉田社頭車引きの場」を披露。雨が降るあいにくの天気で、悪天候のため奥座敷の場を省略したものの、見物客たちは地元役者の堂々とした演技や見えを切る姿に大きな拍手を送っていた。17日正午からも同様の出し物が上演される。