2024年(令和6年) 7月5日(金)付紙面より
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日本銀行は3日、20年ぶりにデザインを一新した新紙幣を発行した。県内ではこの日、一部の金融機関で旧紙幣との引き換えが始まり、新紙幣を手にした人は、じっくり眺めたり、手触りを確かめたりしながら満足げな表情を見せていた。
県内の金融機関の各本店にはこの日、日銀仙台支店(仙台市)を通じて現金輸送車で新紙幣が引き渡された。このうち荘内銀行本店営業部(鶴岡市)では午後1時ごろから、窓口で新紙幣への両替に対応。窓口ロビーは順番待ちの人で混雑し、「30分待ち」の案内が続いた。同行によると、午後3時までの窓口営業時間中、約160人が新紙幣両替に訪れたという。
3万5000円分を1万円、5000円、1000円の3種類の新紙幣に両替した鶴岡市美原町の大中敬一さん(76)は「新紙幣に採用された肖像の3人を、インターネットで改めて調べてみて、興味を覚えて真っ先に両替に来た。次の更新が20年後なら、自分にとっては最後の新紙幣だろう。大切に保管したい」と喜んだ。同市内への通院の後に訪れた三川町押切新田の70代の女性は「お祝いやお礼に新しいお札を使えば、相手からも喜んでもらえそう。今なら額面以上の価値がありそうですね」と笑顔で話した。
新紙幣の肖像は1万円札が福沢諭吉から「日本の資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一、5000円札は樋口一葉から女性教育の先駆けとなった津田梅子、1000円札は野口英世から近代医学の基礎を築いた北里柴三郎にそれぞれ変わった。裏面は1万円札に東京駅丸の内駅舎、5000円札に藤の花、1000円札に葛飾北斎の富嶽(ふがく)三十六景「神奈川沖浪裏」が採用された。金融機関のATMを含め旧紙幣も引き続き利用できる。