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2024年(令和6年) 7月6日(土)付紙面より

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普段から豪雨災害に備える心を

 「この日の警察官や消防団員の救助活動はめざましく、胸のあたりまで濁流にひたりながら、年寄りや子どもを肩車、あるいは背負うなどして、お寺や小学校に収容した」―。『鶴岡百年のあゆみ 続・城下町鶴岡』(大瀬欽哉著)の記述である。1921年8月5日、鶴岡市を襲った大雨による洪水の際の救助活動の様子を書いたものだ。

 梅雨の季節は長雨がしとしとと降り続く、というのは昔の話のようになってしまった。近年は突然襲ってくる「ゲリラ豪雨」に加え、激しい雨が線状降水帯となって同じ地域に長くとどまり、被害を拡大させている。想像を超える被害の大きさは、地球温暖化による異常気象が大きく影響しているといわれる。

     ◇       ◇

 鶴岡百年のあゆみの記述にもう少し触れる。「5日午後からの大雨で内川の増水が始まり一日市町、三日町、五日町、馬場町、鳥居町の川端通りは浸水が甚だしく、交通が途絶えた。赤川も増水し、伊勢横内上流の堤防が180メートル、三川橋近くの堤防も9メートル決壊して町中が濁流にのまれ、一帯は1メートルもの床上浸水になった。舟で炊き出しを運んだ」などと、水が引くまで4日を要したという。

 庄内を流れる河川は護岸による改修で以前に比べて堤防決壊による大きな水害はなくなった。だが、近年のようなゲリラ豪雨は河川改修の想定を超えることもあるかもしれない。山形県は比較的災害が少ないと言われているが、近年は飯豊町や大石田町で大きな水害が発生し、鉄橋が流されたJR米坂線は復旧のめどが立っていない。県内でも短時間に強い雨が降るようになった。激しさを増す自然災害の怖さだ。

 庄内は7月から8月にかけて大雨が降るケースが多い。要注意の時期に備え、自治体は洪水ハザードマップを作っている。浸水が予想される地域と水深が示され、緊急避難場所は学校やコミュニティセンターなど。鶴岡市自治振興会連絡協議会は、「避難情報に応じて早期に避難を始め、近隣の人にも促します」とした内容の「早期避難宣言」を申し合わせている。早期避難こそ、まず自分を守ることになる鉄則だと心に刻んでおきたい。

     ◇       ◇

 災害は時と場所を選ばなくなった。鶴岡百年のあゆみの記述にある時代に比べ、家屋の造りは耐震・耐火構造になった。水に対する備えは別物だが、濁流ではなく、ゆっくり水位が上昇するような場合は2階に垂直避難することも呼び掛けられている。それでも、指定の避難場所で大勢でいる方が多様な情報が得られ、心強いこともある。

 ハザードマップを読み解き、いざという時取るべき行動のイメージを心に刻んでおく。経験則にとらわれて「今まで何もなかったから」だけは禁句にしなければならない。災害対応は「心の備えこそが大事」であることは、いつの時代も変わらない。

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