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2024年(令和6年) 7月31日(水)付紙面より

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羽越本線を次につなげなければ

 JR羽越本線が31日、全線開通から100周年になる。「日本海縦貫鉄道」として、人と物資を運ぶ大動脈の役割を果たしてきたが、近年は利用者の減少で厳しい経営環境に置かれている。政府が地方鉄道再編に動き出している中で、次の100年へとつなげていくため、どのような対策を講じればいいのか知恵を絞らなければならない。

 羽越本線は新津―秋田間(272キロ)を走る。1924年7月31日、最後の工区の村上―鼠ケ関間が完成して全線が開通した。その直後に青森―大阪間に急行列車が運転されたことからも、沿線住民の鉄道に寄せる期待が大きかったことが伝わってくる。

     ◇       ◇

 羽越本線は日本海側の豊富な物資輸送や対岸貿易の重要性から、早期の完成が望まれていた。戦後は時代の要請で集団就職列車が走り、「月山」「鳥海」「羽黒」「出羽」など、庄内の地名を冠した特急や急行列車が人々を運んだ。現在は特急「いなほ」が、新潟駅で上越新幹線との接続を経て首都圏とをつなぎ、貨物列車による大量輸送という重要な鉄路にもなっている。

 かつて高速鉄道、空港、高速道がない庄内を、地元では「陸の孤島」と呼んだことがある。その後、空港と高速道の整備が進む一方、羽越本線の高速化は遅れた。73年にフル規格の「羽越新幹線」が全国新幹線鉄道整備法で基本計画に位置付けられた

が、半世紀も動き出す気配がない。人が空港や高速道に移動の手段を頼るようになったこともあり、利用者の低迷が鉄道網整備の遅れにつながっていることは否めない。

 人口減少、少子化による影響が大きいことを裏付ける数字がある。羽越本線は高校生が通学する重要路線だった。ところがその高校生が激減した。庄内の県立高校の募集定員は1987年に3965人だったが、2008年に2560人、23年は1760人に減った。高校生全員が列車通学しているわけではないが、羽越本線沿線の人口減少を物語る。

     ◇       ◇

 鉄道は大量輸送が大前提の交通機関だが、その特性を生かし切れない利用者の減少ぶりだ。JR東日本が公表した、利用者が少ない地方路線の22年度の収支で、羽越本線の村上―鶴岡間の赤字額は約49億4600万円。管内で一番大きい。営業キロ数が長く、単線と複線が混合するなどで、維持管理、補修費で営業経費が膨らんでいる。

 政府は地方鉄道再編の対象に、当面1キロ当たりの1日平均乗客数が1000人未満の路線を視野に入れている。村上―鶴岡間の23年の乗客数は1423人、鶴岡―酒田間は1736人。観光キャンペーンなどは一過性で利用者増の効果が不十分といわれるが、そうした企画を積み重ねるなど、さまざまな企画に工夫を凝らしたい。もちろん、大勢が積極的に利用したい。次の時代につなげるためにも。

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