2024年(令和6年) 8月1日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡市立加茂水族館魚匠ダイニング沖海月は、庄内産の紅花を使った「北前船べにばな御膳」の提供を始めた。紅花寿司や紅花葛(くず)切りといった紅花料理が楽しめる。
紅花は内陸が有名だが庄内でも栽培されている。酒田市東大町三丁目の加藤富子さん(77)は60歳の定年を機に白鷹町で紅花栽培を学んだ。品種は高品質として珍重されている「最上紅」。春に種を植え、例年7月初めの開花期に収穫する。加藤さんには「庄内にも紅花を根付かせたい」という強い思いがあり、後継者育成にも力を入れている。
庄内の食材をアピールしている沖海月の須田剛史料理長(48)が、かねてから庄内産の紅花に着目。無農薬で作っている加藤さんをはじめ、在来野菜「外内島きゅうり」を生産している鶴岡市伊勢横内の阿部正一さん(73)の紅花を食材に御膳を考案した。内容は紅花寿司のほかにハモと夏野菜の天ぷら、マダイのお造り、茶わん蒸し、酒田名物のむき蕎麦など計10品。天ぷらには紅花の花びらを入れて揚げた。デザートの「紅花葛切り」は夏にぴったり。単品で紅花の花びらをアクセントにしただし巻き卵「紅玉焼き」(税込み800円)も考えた。
提供を前に加藤さんや阿部さんら関係者を招いた試食会が沖海月で開かれた。会食した加藤さんは「とても上品。紅花が喜んでいるかのよう。歴史がある最上紅を今後も絶やさぬようにしたい」と笑顔を見せた。須田料理長は「生産者の頑張りを御膳に込めたかった。(沖海月に来た)県外のお客さんに『庄内の紅花』をPRしたい」と話した。
「北前船べにばな御膳」は税込み2130円。「紅花葛切り」をセットにすると同2500円。「紅玉巻き」はテイクアウトでもOK。御膳とともにしばらくの間、提供する。