2024年(令和6年) 8月7日(水)付紙面より
ツイート
夏休みも中盤、学校での日課から離れ、自分で組み立てたスケジュール(日課)の中で、それぞれの日々を過ごしていることだろう。夏休みをどう過ごすかは、毎年繰り返される“難題”だ。宿題もあるから計画を立てて取り組まなければならない。自由になる時間を生かして普段はできないことに挑戦すれば、一回り成長するに違いない。
暑さから逃れようのない夏は、大人にも子どもにもつらい季節だ。そのせいでもあるのだろう、朝の涼しいうちに勉強を済ませようといわれるのは、学校での始業時間に合わせて一日のスタートを切ることに通じる。自分が決めた日課をこなすことで、いい夏休みだったとの思い出を残したい。
◇ ◇
夏休みの宿題にある読書感想文。課題と自由の図書があり、全国学校図書館協議会の募集では、小学校中高学年は1200字以内、中学・高校は2000字以内で作品の内容とそれに対する自分の意見や考えを書かねばならない。宿題だから本を読み、感想を書くとなると義務的になるが、そうではなく「これは面白い」と、物語に引き込まれていくようだと、おのずと「何を、どう書けば」の答えが見つかりそうだ。
今年の小学6年生と中学3年生対象の「全国学力・学習状況調査」で、考える力不足が指摘された。山形県は小6で国語と算数、中3で数学の正答率が全国平均を下回った。県教育委員会は「自分の考えを分かりやすく伝えるため、資料を活用して表現を工夫し、集めた情報を整理して文章を考え、表現する力」を充実させることが求められるとの見解を示している。
「読むことは力」と言われる。算数や理科だって設問を読んで何を問うているか理解しなければ問題を解けないから、読むことはすべての基本になる。勉強に限らず、人生では自分の考えで物事を判断しなければならない場面が多い。そのとき最善の道を選択できるよう力を身に付けておく。そのような力を養うには、幾通りもの疑似体験ができる本を読むことがうってつけではないだろうか。
◇ ◇
AI(人工知能)やSNS(交流サイト)が全盛の時代だ。全国には1軒の書店もない自治体が増えている。テストでも記述式の問題に苦手意識を持つ傾向があるという。読書感想文は自筆で書かねばならない。書くことは少し面倒さが伴うが、デジタルの時代だからこそ「書くこと」を大事にしたい。誤字などをなくし、正しい文字を身に付けるためにも。
読書感想文を書かない学校もあるという。教育の多様化というものだろうか。読む面倒さの中に面白さが詰まっているのが本。読めば新しい発見もある。デジタルもいいが、本を読んで文字に書き表せば記憶にとどまる。本から得た知識は将来きっと役立つはずだ。