2024年(令和6年) 8月11日(日)付紙面より
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庄内沖で導入に向けた取り組みが進む洋上風力発電事業を起点とした産業振興を考える勉強会が9日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれ、講演を通して先行する秋田県内の事例を参考に地元企業の参画による地域経済への波及効果について理解を深めた。
鶴岡商工会議所(上野雅史会頭)が会員事業所を対象に企画し、約100人が参加した。庄内沖では遊佐町沖が「促進区域」に指定され、今年1月から先月まで事業者公募を実施。年内にも発電事業者が選定される見込み。酒田市沖は昨年10月に促進区域の前段となる「有望な区域」として整理された。
洋上風力発電事業は建設工事や作業員の宿泊・飲食、その後の運用・維持管理、修繕などサービス業を含め裾野の広い産業で、数千億円の事業規模が見込まれる。遊佐や酒田沖での事業展開によって鶴岡の企業にもビジネスチャンスの創出が期待されることから、事業に関する勉強会を開いた。
秋田県沖の事業に関わった日本政策投資銀行東北支店調査役の米谷友利さんが、同県の事例について講演。洋上風力発電のコストのうち、2割強は風車製造が占めるものの、長期間にわたる設備の運用や保守管理が4割弱あり、秋田県内の企業が参入している事例を紹介した。
米谷さんは「建設工事、運転・保守、撤去の各段階で地元調達率を高めれば、地域経済への波及効果も高まり、秋田では産業クラスター形成の取り組みが進んでいる。海外の風車メーカーを含めた事業者側と地元企業とをつなぐコーディネーター役の存在が重要」と述べ、「地元からの参入には課題もさまざまあるが、チャンスと捉え前向きに動いてほしい」と呼び掛けた。
引き続き、県エネルギー政策推進課の槙裕一課長が庄内沖の洋上風力発電の拠点となる国と県による酒田港の機能強化、導入による経済波及効果の県による調査などの事業を説明。洋上風力発電事業による地域経済波及効果の最大化を目指し、先月設立された地域内連携組織「遊佐町沖洋上風力産業振興プラットフォーム」について、事務局となった遊佐町商工会の担当者が紹介した。