2024年(令和6年) 8月29日(木)付紙面より
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今年創立100周年を迎えた庄内の美術団体・白甕社(齋藤拓委員長、会員103人)の美術展が28日、鶴岡市の鶴岡アートフォーラムで始まった。会場には庄内画壇の礎を築いた先人や現役の会員と一般公募者、子どもたちの作品が展示され、白甕社の「過去・現在・未来」を感じさせるような工夫が凝らされており、節目の年にふさわしい華やかな展示会となっている。
白甕社は1924(大正13)年、旧制鶴岡中学校の学生を中心に、当時の庄内地方では珍しい洋画運動による地方文化の発展を目指した美術団体として設立。当初は「白虹社」と称したが、翌25年に会長へ就任した地主悌助氏が「白甕社」に改めた。
今回は会員と一般入選、白甕社ゆかりの物故作家の作品など合わせて279点を展示。今年5月に開催した100周年記念ワークショップで絵本作家の荒井良二さん(山形市出身)と県内外の子どもたちが描いた大作「みちみちの木」(5メートル×1・15メートル×4枚)がエントランス正面の壁面に飾られ、来場者を出迎えた。
会場内では、会を立ち上げたかつての高校生と現役の高校生の作品、現役高校生時代に最高賞の白甕社賞を受賞した歴代作品を混在するなど、会の原点である「高校生」と「白甕社のはじまり」をテーマに展示。
また、白甕社に関わる歴代の指導者や物故作家の作品には人物像や交友関係などを伝えるキャプションを添えた。このほか昨年9月に芸術の森今井アートギャラリー(鶴岡市羽黒町)で行われた美術ワークショップ「いまいしげさぶろうさんコンニチハ!!」に参加した子どもたちの作品なども飾られた。
齋藤委員長は「密度、レベルともに高い物故作家の作品など、多くの作品を通して100年の歴史の重みを感じてもらいたい」と話していた。展示は9月8日まで。酒田地区(庄内町含む)の出品者作品と受賞作品を展示する「酒田展」は9月9―15日に酒田市総合文化センターで開かれる。