2024年(令和6年) 9月6日(金)付紙面より
ツイート
思いひとつに収穫感謝祭
奥田シェフが料理 園児らが舌鼓打つ
鶴岡市堅苔沢の小堅保育園(小林リサ園長、園児14人)の園児らが栽培している在来作物「波渡(はと)ナス」の収穫感謝祭が1日、同市遠賀原のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」で開かれ、奥田政行シェフが腕によりをかけた料理を振る舞った。同園は本年度を限りに閉園することが決まっており、今後もおいしい波渡ナスを後世につないでいくために、地域はもちろん波渡ナスファンたちが知恵を出していくことを確認していた。
2015年に外部講師で食育インストラクターの海藤道子さんが同園で料理講習を行った際、出合った珍しい丸ナスを山形大学農学部の江頭宏昌(ひろあき)教授に照会したところ、同園がある堅苔沢地区に100年ほど前から伝わる「波渡の丸なす」であることが分かり、「波渡ナス」として在来作物に登録された。翌16年から当時の土岐邦子園長が呼び掛け、「波渡なすチャレンジ」として地域の人たちと一緒に栽培、収獲、調理、採種をすることで、食べ物への関心や地域愛を育んできた。今年も子どもたちが特製のポシェットに入れた種をおなかで温めて芽出しさせ、5月中旬に種を植え、肥料不足や病害などを乗り越え、8月中旬から収穫が始まった。
午前中に、閉園についての住民説明会を行い、午後からの感謝祭には江頭教授、海藤さん、土岐先生、地域の「波渡なすばばちゃん」をはじめ、職員、園児・卒園した小学生やその父母ら合わせて43人が参加。それぞれが波渡ナスへの思いを語りながら料理を味わった。メニューは稚アユと一緒に天火焼きにしたり、コンソメで煮浸しにしたもの、パスタやカポナータなど6種類。甘さの中にちょっと苦みがあるのが特徴の波渡ナスだが、子どもたちは「おいしい」と頬張り、スープの1滴も残さないように平らげていた。大人たちも「焼いて塩をさっと振っただけでもおいしいが、シェフの料理はこれまで味わったことのないおいしさ」「こんな料理が食べられるなら、頑張って波渡ナスを作っていかないと」と話していた。
最後にみんなで、ミュージカルにもなった波渡ナスの歌を歌い、みんなで収穫の喜びを分かち合った。
この日使った波渡ナスは全部で120個。奥田シェフも「おいしいので、ぜひ店でも使いたい。持ってきてくれたら買い取りたい」と話していた。さらに収穫は続くので、入荷し次第レストランで提供するという。