2024年(令和6年) 9月14日(土)付紙面より
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7月の記録的大雨で被害を受けた酒田市大沢地区で12日、住民らが地元児童と共に山の中腹斜面に設けた「大」文字ライトアップのためのライトを設置。夕方から点灯が始まり、七色の文字が山中に浮かび上がった。
大沢地区ではこれまで、大沢コミュニティセンター前から見える山に盆の送り火として行われる京都の大文字焼きなどに倣い、縦横30メートルほどの「大」の文字が浮かび上がるよう除草を行ってきた。2018年からは市地域おこし協力隊として同地区に派遣された阿部彩人さん(44)=合同会社「COCOSATO」代表、同市漆曽根出身=と大沢コミュニティ振興会(後藤正一会長)が連携し、地域の魅力発信の一環で「大」文字をライトアップ。子どもたちに地域づくりに参加する実感を持つ機会をつくろうと、22年から地元の一條、八幡両小の児童らと共にライトの設置を行っている。
これまでは7月にライトを設置、8月のお盆の時期に祭りを開催、9月いっぱいを点灯期間としてきたが、大雨の影響で全ての作業が中断。児童から「大沢のために何かしたい」との声が寄せられたこともあり、被災者有志で話し合った結果、復旧作業に従事する人たちへの感謝と住民への激励を込め、ライトアップのみ実施することを決めた。
この日は朝から快晴で気温が上がる中、両校児童計39人が参加。「大」文字のある山に登り、2・5―5メートル間隔で計26個のライトを斜面に取り付けた。
参加した児童の一人、八幡小6年の佐藤絢香さん(12)は「急斜面を登ったりライトを固定するのが大変だったけど、今年もできて良かった。夜に光るのが楽しみ」と。阿部さんは「反対の意見もあったが、子どもたちの笑顔を見て、やって良かった。子どもたちが住民と共に取り組んだからこそ喜びも大きいのでは。この光が復興のシンボルになっていけたら」と話していた。
点灯は10月上旬まで行う予定。