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荘内日報ニュース


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2024年(令和6年) 1月27日(土)付紙面より

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温泉街の食品残渣肥料に 湯野浜野菜の料理提供 ゆのはまわ~るプロジェクト 資源循環型の観光地 新たな食文化創造へ

 鶴岡市の湯野浜温泉で、旅館やホテルから出る食べ残しなどの食品残渣(ざんさ)を肥料に変えて野菜を栽培し、環境に配慮した「湯野浜野菜」として料理を提供して地域のブランド力向上を図る、新たなプロジェクトが始動した。地元のまちづくり会社「湯野浜100年」(五十嵐浩代表取締役)が山形大農学部、地元生産者と連携し、温泉地域の資源循環型の新たな食文化創造を視野に入れた「ガストロノミーツーリズム」の展開につなげる。

 プロジェクト名は「ゆのはまわ~る」。DEGAM鶴岡ツーリズムビューローが採択された観光庁の事業の一環で、具体化に向けた取り組みを始めた。湯野浜温泉旅館協同組合によると、温泉街の旅館・ホテルから出る野菜くずなどを含めた生ごみは2022年度で約176トンあった。処理費の負担も重く、循環型の食文化構築で持続可能な観光地を目指す。

 食品残渣の肥料化は、山大農学部の佐藤智准教授の研究室が取り組むプロジェクトと連携する。食品残渣をアメリカミズアブの餌として提供し幼虫を介して肥料に変え、地元農家がこの肥料を活用して野菜を栽培し「湯野浜野菜」として旅館・ホテルに納入。地域内循環の地産地消につなげる。

 「ゆのはまわ~る」プロジェクトの研修会が23日、湯野浜温泉「亀や」で開かれ、地区外を含む関係者ら約30人が参加。湯野浜100年の阿部公和取締役、佐藤准教授、生産者でワッツ・ワッツ・ファームの佐藤公一代表が、「湯野浜野菜」のブランド化を起点にした資源循環型のガストロノミーツーリズムの取り組みを説明した。

 研修会の後半には、東京會舘(東京)で日本料理顧問を務める鈴木直登さんを講師に迎えた料理講習もあり、佐藤代表がミズアブの肥料で育てた白カブと大根を使い、タイやベニズワイガニと組み合わせた煮物の一品料理が提供された。

 循環型のプロジェクトでは、野菜だけでなく他の食材への展開も検討する。阿部取締役は「今回の研修会が『ゆのはまわ~る』プロジェクトの出発点。地域全体で自然環境を守りながらおいしい食を提供する、持続可能な取り組みを実現させたい」と話した。

「ゆのはまわ~る」プロジェクトの展開に向けて開催された研修会=23日、亀や
「ゆのはまわ~る」プロジェクトの展開に向けて開催された研修会=23日、亀や

ミズアブを介した肥料で栽培された白カブ(上)と大根を使った料理
ミズアブを介した肥料で栽培された白カブ(上)と大根を使った料理


2024年(令和6年) 1月27日(土)付紙面より

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遊佐沖風力発電が事業者公募開始

 遊佐町沖の洋上風力発電計画について、経済産業省と国土交通省は発電事業者の公募を開始した。公募期間は7月19日まで。両省が事業計画などの審査や評価をした上、今年12月に事業者を決定する。遊佐沖の海域は再エネ海域利用法に基づく「促進区域」となっていた。洋上風力発電の導入は秋田県で先行している。今回、青森県沖でも事業者公募が始まり、東北の日本海側は洋上風力発電に適していることになる。

 遊佐沖での事業者公募開始に、遊佐町などは新規事業、雇用の創出などに期待を寄せている。一方、事業に反対する住民もいる。そうした異論に対して丁寧に説明し、理解を得ることが事業推進の上で欠かせないことだ。

     ◇       ◇

 全国的な洋上風力発電導入機運の高まりから、県は2018年「県地域協調型洋上風力発電研究・検討会議」と「遊佐沿岸域検討部会(遊佐部会)」を設立、20年に両省から事業開始に必要な3段階のうち最初の段階となる「一定の準備段階に進んでいる区域」の選定を受け、さらに2段階目の「有望な区域」、最終段階の「促進区域」に指定されていた。

 世界のエネルギー事情は依然として石油や石炭などの化石燃料に頼っている。二酸化炭素(CO2)排出で地球の気温が上昇し「地球温暖化」から「地球沸騰化」の時代と語られ、主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は50年までに化石燃料を段階的に廃止することで合意している。カギを握るのは自然の力を有効利用する再生可能エネルギーの導入とされている。

 遊佐沖で予定されている導入海域は南北約8・3キロ、沖合5キロ。海岸線から1カイリ(約1・8キロ)沖までは漁業などへの配慮から風車を設置しない。着床式の風車で約45万キロワットを発電する。事業者には最長30年間の海域占有が認められる。遊佐町の海岸では既に風車が稼働しているが、新たな事業によって海域の景観が大きく変わるだけでなく、漁業への影響に不安を抱く町民も少なくない。

     ◇       ◇

 四方を海に囲まれた日本は洋上風力発電の潜在力は高い。再エネの弱点は天候に左右されて発電量が不安定になることだが、秋田県は将来的に洋上風力を柱にした再エネで、全県内のエネルギーを賄うことを目指しているという。山形県も原発1基分に相当する約100万キロワットの再エネ導入を計画している。再エネへの期待は高い。

 事業者公募開始で事業化に大きく前進する。風力発電についてはエネルギー事情や地元の雇用拡大への期待も含め、社会の受容性は深まりつつあるようだ。しかし事業推進で最も肝心なことは異論を持つ人々に説明を尽くして理解を得、総意で事業を進めること。それによって遊佐のまちづくりにつながることを願いたい。

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2024年(令和6年) 1月27日(土)付紙面より

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棟方志功ら「絵画と巡る土門拳 「自然・動物写真の系譜」同時開催

 酒田市の土門拳記念館で、市名誉市民で世界的写真家・故土門拳さんの「絵画」や「美術」をキーワードに作品を集めた企画展「絵画と巡る土門拳―生誕120年・棟方志功とともに」と、「土門拳賞コレクション 自然・動物写真の系譜」が同時に開かれ、土門さんが写した画家たちのポートレート、美術的な写真作品のほか、大自然を撮影した土門拳賞受賞者6人の作品などが並び、多くの来館者たちが作品の世界に引き込まれている。

 土門さんは青年期まで画家を志しており生前、一番好きな画家はピカソだと発言していたという。今回は土門さんと親交が深く、昨年生誕120年を迎えた世界的版画家・故棟方志功のアトリエや作業風景を写した「棟方志功 板を彫る」「ジャングルのようなアトリエ内部」などの作品を中心に、土門さんの代表作「古寺巡礼」の中から、菩薩像や曼荼羅(まんだら)の絵画的な部分をクローズアップ撮影した作品など、計120点を紹介している。

 土門さんと棟方さんが1956年に雑誌の企画で展開した、バレリーナや日本舞踊家など4人の女性モデルをモチーフに行った版画と写真の競作品は、同じモデルを前にした2人の感性や表現の違いを見比べることができる。

 企画展示室1、2では1990―2021年に土門拳賞を受賞した大竹英洋さん、宮崎学さん、下瀬信雄さん、石川直樹さん、中村征夫さん、今森光彦さんの受賞作から、壮大な自然や野生動物の姿を捉えた作品計73点が並び、カナダの幻想的なオーロラが出現した夜空、フクロウの飛翔瞬間、オーストラリアに生息する希少なミツツボアリの姿などを紹介している。

 24日は酒田市の浜中小学校(是谷あゆみ校長)の児童がスクールプログラムで訪れ、2、3年生19人が学芸員の解説を聞きながら作品を鑑賞した。児童たちは深海に生息するオオカミウオや巣穴の中で寄り添うフクロウのひなの写真を見て、「すごい」「どうやって撮ったんだろう」と、目を輝かせていた。両展示とも3月31日(日)まで。

絵画や自然を題材にした写真が並ぶ企画展
絵画や自然を題材にした写真が並ぶ企画展


2024年(令和6年) 1月27日(土)付紙面より

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力作900点ずらり並ぶ 鶴岡アートフォーラム 田川地区幼・小・中・高書き初め書道展

 鶴岡書道会(山本良伸会長)の「第34回田川地区幼・小・中・高書き初め書道展」が26日、鶴岡アートフォーラムで始まった。「美しい空」など各校、学年の課題を書き上げた子どもたちの作品約900点がずらりと展示されている。

 書道教育の普及と振興を図るため毎年この時期に開いている。今回は鶴岡田川地区の幼児、小中高生合わせて約900人が出品した。小中学生は毛筆による半紙と書き初め用紙の作品が中心で、硬筆の部も昨年より多くの作品が寄せられた。同会で審査し、最高賞の鶴岡書道会賞や奨励賞など特別賞181点、特選、金賞、銀賞の各賞を決めた。

 課題は学校の授業や部活動で取り組んだものが多く、「お正月」や「新たな世界」など新春らしい題材に、力いっぱい太い字で書いたり丁寧に文字の最後まで気を配って書いたりと各作品に個性が見られた。また、流麗なかな文字で書いた高校生の作品も目を引いていた。

 展示は28日まで。時間は午前10時―午後5時。入場無料。

子どもたちが元気に書き上げた作品がずらりと並んだ書き初め展
子どもたちが元気に書き上げた作品がずらりと並んだ書き初め展


2024年(令和6年) 1月27日(土)付紙面より

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ギニア大使・加藤さん(酒田市出身)と交流 酒田・泉小で講話 質問にも分かりやすく

 在ギニア日本国大使館の加藤隆一特命全権大使(59)を招いた交流会が25日、酒田市の泉小学校(齋藤太校長、児童289人)で開かれ、3年生が加藤大使のアフリカやギニアに関する話に耳を傾けた。

 加藤大使は酒田市出身。大学卒業後、国際協力機構(JICA)の前身である国際協力事業団に入団。セネガル事務所長、アフリカ部長などを歴任。2022年12月から現職。

 同校では3月にインターネットを通じて「アフリカ・ギニアの小学生」と交流するのを前に、ジャンベ(アフリカ太鼓)の世界的演奏者ソロ・ケイタさんや山形大農学部の留学生らと交流するなど学びを深めている。今回の交流会もその一環で、齋藤校長らの知人である加藤大使が同校の依頼を快諾し実現した。

 この日は加藤大使が同校を訪れ、3年生40人と交流。最初に児童らが歌や太鼓演奏で歓迎し、続いて加藤大使が「アフリカ大陸は日本の約80倍の広さ。54の国があり、人口約12億人。サバンナなどを思い浮かべる人もいるが、高層ビルが建ち、鉄道が通る大都市もある。将来的に人口増が見込まれていて食糧を増やすことが課題の一つ」などアフリカやギニアについて説明した。

 児童からの「ギニアがどんな国になってほしいか」「大使になって変わったこと」などの質問に「ギニアはボーキサイトの埋蔵量世界一など天然資源が多い国。しかし、その利益は一部の人にしか行き渡っていない。利益がみんなに行き渡るようになってほしい。また、子どもたちがしっかり勉強でき、就きたい職に就ける国になってくれれば」「大使は相手に日本のことを伝えなければならないので、改めて日本のことを勉強した」などと答えていた。

 参加した佐々木夏輝(なつき)君(9)は「ギニアの食べ物などいろいろ知ることができて勉強になった」、佐藤珠莉(しゅり)さん(9)は「笑顔を忘れない明るい人だった。だからギニアの人とも仲良くなれるんだと思った」とそれぞれ感想を述べた。加藤大使は「アフリカについてすごく勉強をしていてうれしかったし、驚いた。今後、世界の中でもアフリカの占める割合は増えていく。引き続き、子どもたちは世界の人と交流を深めてほしい」と話していた。

子どもたちにギニアについて話す加藤大使(左)
子どもたちにギニアについて話す加藤大使(左)



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