2024年(令和6年) 10月1日(火)付紙面より
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旧庄内藩校致道館で培われた教育を後世に伝えていく「致道館の日 孔子祭・式典」が28日、鶴岡市の致道館で行われた。致道館の教学だった徂徠(そらい)学を含む儒教の祖・孔子をしのぶとともに、藩校に伝わる教育精神の伝承へ思いを新たにした。
孔子祭は、致道館が1805(文化2)年の開校以降、孔子を祭った同館の聖廟(せいびょう)で年2回行われていたが、1873(明治6)年に廃校となった後は途絶えていた。
致道館精神の継承に取り組む致道館文化振興会議(会長・橋本政之荘内日報社社長)が2000年に復活させて以来、毎年この時期に孔子祭を開催しており今回で25回目。コロナ禍の間は密集を避けて荘内神社参集殿を会場にしており、昨年4年ぶりに致道館で孔子祭を実施した。
同振興会議の会員や「少年少女古典素読教室」を受講している小中学生と保護者など約50人が参列。孔子の聖像を掲げた御入間で神事が行われ、橋本会長が祝文を奉読。参列者全員で論語抄第72~73章「子曰く。恭にして而して禮無ければ則ち勞。…」を素読した。続いて致道博物館参与の酒井英一氏による講経が行われ、一心になって学ぶことや学問を楽しむことの大切さを伝えた。
孔子祭に引き続き「致道館の日」の式典が行われ、朝暘三小の成澤和則校長が「致道館の日に寄せて―『自学・自習』の実践で自律した学習者を育てる―」と題し、同小で取り組んでいる教育活動を紹介した。
その後、荘内神社参集殿に会場を移し「第16回児童・生徒論語作文」の発表会が行われた。優秀作品に輝いた児童生徒8人のうち、出席した5人がそれぞれ自身の体験や論語の学びを基に「基本を大切にして習い事や勉強を頑張りたい」「言葉より実行することの大切さを教わった」などと語った。
記念講演会では鶴岡シルク社長の大和匡輔氏が「過去を学べば未来が見える―先人達が繋いできた鶴岡シルクから見た21世紀循環型の世界とは―」の演題で、「高くても良いものを長く使う循環型の世界に移り変わりつつある。その中で先人が受け継いできた文化を大切にし“本物”の良さを次世代につなぐことが私たちの役目」などと語った。