2024年(令和6年) 10月22日(火)付紙面より
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黒川能保存伝承研究会が19日、鶴岡市の王祇会館で開かれた。ベテラン能役者で黒川能保存会業務執行理事の上野由部さん(黒川春日神社下座能太夫20世)が衣装の着付けや舞い方を指導した。
黒川能(国指定重要無形民俗文化財)の魅力を伝えようと保存会が毎年企画しており、今回で15回目。実演ではシニアビジネス開発マネージャーのペイシー・チェンさん(シンガポール在住)がモデルとなり、上野さんから能衣装の身に着け方と扇を手に基本的な舞い方を学んだ。
上野さんは「女性の面(おもて)は上下左右、見る角度によって表情に違いが出る」「基本的に面を着けたら頭は動かさない」「うれしさや悲しさは面で表現する」とポイントをアドバイスした。鶴岡市国際観光大使や太平洋アジア観光協会の台湾支部会長などを務めるベンジャミン・リャオさん(台湾在住)を講師に招いた講演では「観光と庄内の精神文化」をテーマに持論を紹介。その中でベンジャミンさんは「黒川能は世界が探求しているスピリチュアルな精神文化を持っている。黒川地区は世界とつながり遺産保護や未来の繁栄へと向かう地域社会の要素を秘めている」と語った。
会場には黒川能を愛好する人たちや観光関係者らが集まり、実演を見学したり講演に耳を傾けていた。