2024年(令和6年) 10月25日(金)付紙面より
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1894年10月22日夕に広く庄内地域を襲った庄内大震災の発生から130年の節目を迎えた22日、災害の歴史を後世に引き継ぐことを目的にしたフォーラム「庄内大震災130年―記憶を風化させぬ!地震学と歴史学との連携」が酒田市総合文化センターで開かれ、市民ら約40人が参加。講演、パネル討議などを通して地震に関する知識を深めた。
庄内大震災は1894年10月22日午後5時35分に発生。酒田町(当時)を中心に被害は庄内地域全域に広がり、死者726人、全壊家屋3858戸に達したほか、夕食準備で火を使っていた家庭が多かったことから2148戸が全焼した。
酒田・飽海地域の歴史を探究し、成果を今後の地域づくりなどに役立てようとさまざまな活動を展開する飽海地域史研究会(小野寺雅昭会長)が、節目に当たってその歴史を振り返ることで、後世に引き継ぐとともに、自然災害が頻発する昨今に求められる対策のヒントを得ようと企画した。
フォーラムでは最初、石瀬素子山形大理学部講師が専門とする地震学の知見で講話。「地震は既存の弱面を使って発生。同じ箇所で繰り返す」と話し、庄内地域における地震の特徴として▽内陸、日本海沿岸で発生▽平野部では山地に比べて揺れが増幅▽液状化とこれに伴う地変―の3つを挙げた。そして「歴史資料は被害の詳細な様相を伝える。歴史学と地震学の『協働研究』を推進していく必要がある」とまとめた。
引き続き同研究会の小田純市会長代行の司会で、石瀬講師、小野英男市自治会連合会長、土井寿信・元酒田地区広域行政組合消防長、五十嵐和一鳥海山・飛島ジオパーク学習支援員の4人が「記憶を風化させぬために、今」をテーマに意見を交わした。参加者はその後、同市日吉町二丁目の海向寺(伊藤隆文住職)に移動、鐘楼前に列を作り発生時刻に合わせて「鎮魂の鐘」を打ち鳴らし、犠牲者の冥福、恒久平和などを祈念した。