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荘内日報ニュース


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2024年(令和6年) 10月5日(土)付紙面より

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インバウンド対応 多言語翻訳ディスプレー 導入検討 酒田夢の倶楽で実証テスト 外航クルーズ船寄港に合わせ

 多言語でコミュニケーションを取ることによって販売促進につなげようと、インバウンド(訪日客)を大勢乗せた外航クルーズ船「MSCベリッシマ」(マルタ船籍、17万1598総トン)の酒田港寄港(5日)に合わせ、酒田市の山居倉庫酒田夢の倶楽で現在、印刷最大手・TOPPAN(東京)が開発した、互いの翻訳結果が透明ディスプレー上に表示される機器の実証テストが行われている。効果を確認し、来春以降の導入を検討する。

 この機器は、透明ディスプレー(31インチ)とタブレット端末、マイクで構成。マイクに向かって話した言葉の翻訳結果をディスプレーに表示することで、対面での円滑なコミュニケーションを実現するもの。相手の表情も確認できることから、より自然な形での「会話」が可能になるという。クラウドを介し英語、中国語、タガログ語など日本語を含め13言語に対応、耳の不自由な人など障害者向けにキーボード入力も可能。昨年10月から「ボイスビズUCディスプレー」の名称で提供を開始し、本県ではJR山形駅(山形市)で導入済みという。

 酒田夢の倶楽を運営する酒田観光物産協会(西村修会長)は今回、インバウンド来館時の販売促進、さらには全市的な経済効果につなげようと、着々と工事が進む「いろは蔵パーク」に移転する来春以降の導入に向けた検討材料にしようと、同社の協力で実証テストを行うことにした。

 MSCベリッシマ寄港を前に、テストは3日夕にスタート。初日は市内在住の外国出身者3人が英語と中国語、フィリピンの公用語・タガログ語の3言語で、販売スタッフと透明ディスプレーを通して「会話」。外国出身者の「どの米がおいしいですか」との問いに、スタッフは「つや姫をお薦めしています」と答えるなど固有名詞の一部に変換ミスがあったものの、流れはスムーズ。特にタガログ語に関してはネーティブから「OK」とのお墨付きを得た。

 MSCベリッシマはこれまで酒田港に寄港した外航クルーズ船で最大。同協会の小松原毅事務局長は「多くのインバウンドが来館するはずで、まずはこの機器の性能を確認したい」と話した。実証テストは今月6日まで。

中央部のディスプレーを通して外国出身者と販売スタッフが「会話」= 3 日夕、酒田夢の倶楽
中央部のディスプレーを通して外国出身者と販売スタッフが「会話」= 3 日夕、酒田夢の倶楽


2024年(令和6年) 10月5日(土)付紙面より

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大雨被災者元気づけボランティアに感謝 八幡コミ振振る舞い 芋煮会で交流深める

 今年7月の記録的大雨で被害を受けた酒田市八幡地域の住民らを元気づけようと、芋煮とおにぎりの振る舞いが2日、大沢、日向両コミュニティセンターで行われ、被災者や災害ボランティアらが参加。互いに交流し、親睦を深めた。

 八幡地域にある大沢、日向、観音寺、一條の4コミュニティ振興会で組織する「八幡地域コミュニティ振興会連絡協議会」(会長・小松幸雄日向コミュニティ振興会長)が企画。地域全体のにぎわいを創出しようと合同の芋煮会を企画し進めていたが、7月の豪雨を受け中止に。被災者への激励、災害ボランティアへの感謝を伝える場として改めて実施した。

 このうち大沢コミセンでは、大沢地区の料理グループ「んめちゃんズ」(遠田恵美子代表)を中心とした地元のボランティア11人が朝から集まり、約70食分の芋煮を大鍋で調理したり、地元産の新米でおにぎりを握った。昼前になると地元住民のほか、災害ボランティアとして同地区で活動した山形大生、県内外の社会福祉協議会職員、市街地住民など多くが訪れ、秋の味覚と会話を楽しんだ。会場では八幡、一條両小、鳥海八幡中の児童・生徒たちによるビデオレターも放映され、子どもたちの激励に顔をほころばせていた。

 同市大蕨の池田泰子さん(93)は「久しぶりに顔を合わせた人もいて安心した。親族とも集まれなくなっていたので、ひ孫の姿をビデオレターで見ることができてうれしい」と笑顔で話していた。

 9日(水)には観音寺コミセン、市条2区自治会館でも振る舞いが行われる予定。

芋煮や新米のおにぎりを食べながら親睦を深める参加者=2日、大沢コミセン
芋煮や新米のおにぎりを食べながら親睦を深める参加者=2日、大沢コミセン


2024年(令和6年) 10月5日(土)付紙面より

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時ならぬ 桜開花 鶴岡公園

 10月に「サクラ咲く」―。鶴岡市の桜の名所・鶴岡公園にあるソメイヨシノが花を咲かせている。穏やかな日和となった3日は、かれんな桜の花びらが秋の風を受けて静かに揺れ、散歩で訪れて花を見つけた市民は「こんな時期に」と驚きながらも、「きれい。いい出会いに恵まれた」と時ならぬ“お花見”を楽しんでいた。

 花を咲かせたのは、同公園の「菖蒲園(しょうぶえん)」東側にある老大木のソメイヨシノの1本。3日午後は数本の枝先に2、3輪ずつ合わせて十数輪が咲いていた。

 今夏の猛暑の影響か、公園内で発生したアメリカシロヒトリの害虫の影響のためか葉はほとんどなく、落葉して涼しくなった後に暑さが戻って花芽の休眠が解かれ、「不時開花」したとみられる。

 山形地方気象台によると、鶴岡の最高気温は大雨となった9月21、22日は20度前後まで下がり、今月1日は28・3度、2日は29・8度と真夏日近くまで上昇。この桜は2日には開花が確認されていた。

 鶴岡公園では6日に「荘内大祭」が開かれる。時ならぬ開花は、祭りを歓迎するかのようだ。

花を咲かせた鶴岡公園のソメイヨシノ=3日午後
花を咲かせた鶴岡公園のソメイヨシノ=3日午後


2024年(令和6年) 10月5日(土)付紙面より

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豪雨災害から2カ月が過ぎた

 7月下旬に庄内などを襲った豪雨から2カ月が過ぎた。被害は最上地方なども含めて広範囲に及び、被害額は県の調べで約1051億円に上り、県内で起きた災害で過去最大になった。被害は河川の氾濫による家屋の浸水、土砂や流木による農地の被害も大きい。収穫の秋最盛期にイネの倒伏などで刈り取りを困難にしている。

 被災地では復旧作業が連日続いているが、酒田市の山間地域では、土砂と一緒に襲ってきた流木類の撤去が作業を困難にしている。そんな中で各地から訪れるボランティアの活動も多い。場所によっては重機では難しく、「人の力」に頼らなければならない。高齢化が進む地域住民の心強い支えになっている。

     ◇       ◇

 酒田市大沢では2、3日の間に平年の7月の1カ月分の降水量を超す約408ミリの雨が降った。気象庁が警鐘を鳴らす「経験したことがない」豪雨は、地球温暖化で海水温が上昇し、水蒸気が上空に大量に吸い上げられているのが大きな原因とされる。豪雨災害が全国各地で発生している背景には、人の営みが関わっていることになる。

 土砂と一緒に流れ込んだ巨木類が被害を拡大させた。森林の荒廃で倒木した木々が雨で流出、川をせき止めてダム状態になり、土砂と一緒になって一気に流れ下る。遠目には緑に覆われている森林も、手入れが行き届かず、地面が露出したり倒木類が目立つ場合が多い。手入れされた森林は落ち葉などが土壌の侵食を防ぎ、木々が根を張り巡らすことで、土砂の流出や山腹の崩壊を防ぐ。自然災害を防ぐための森林整備事業は、政府の施策で強力に進めるべきであろう。そのために森林環境税もある。

 戸沢村蔵岡地区は、たび重なる水害に集落の9割以上の世帯が集団移転に賛成した。1割強が「住み続けたい」と答えたというが、同地区の住宅地は地盤が低い。最上川の増水から集落を守る堤防があり、川から流入する水の逃げ場がない。酒田市の被災地でも「ここには住めない」などとの声も聞かれる。災害は、人の心まで折ってしまう。

     ◇       ◇

 市街地でも「内水氾濫」による被害が起きる。酒田市でも小さなセキが新井田川の増水で逃げ場を失い、逆流するケースもある。中小河川の氾濫の怖さにつながるケースだ。普段通り慣れている道も冠水で状況は一変することを念頭に、注意しなければならない場所はないかを気にかけていたい。

 戸沢村の移転アンケートは、安全な場所への集団移転を促す国の「防災集団移転促進事業」を受けてのこと。再び災害に遭わないための「最終手段」のような対策とも思える。それも国の重要な事業の一環だとしても、自然災害が起きない国土の環境整備こそが最優先。新政権が掲げる「国民の安心・安全を守る」政治が目指すところではないだろうか。

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2024年(令和6年) 10月5日(土)付紙面より

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県高校定時制・通信制生徒生活体験発表会 困難乗り越え 学び働く 後藤さん(庄総通信)最優秀 全国大会へ

 県高等学校定時制通信制生徒生活体験発表会が3日、庄内町の庄内総合高校で開かれ、県立高校の定時制・通信制に通う代表生徒7人が学校生活の中で体験したことなどについて意見発表した。

 さまざまな事情を抱えながら定時制や通信制で学ぶ生徒に、仲間たちの体験を聞くことで生き方を考える機会にしてもらおうというもの。発表会は県高等学校定時制通信制教育振興会(井上恭一会長)が主催し、定時制・通信制がある霞城学園、新庄北、米沢工業、鶴岡工業、酒田西、庄内総合の6校持ち回りで開催している。

 この日は各校代表生徒や教員ら計約70人が参加。初めに井上会長が「自分自身のこれまでを振り返り、整理して他の人に伝えることで、自分の目標やこれからの道筋が見えてくる。それぞれの思いを発表してほしい」と激励した。

 発表会は1人7分の持ち時間、井上会長ら4人の審査員が「学校生活を中心とした体験か」「論旨が明瞭に表現できているか」など10項目で審査した。中学生活になじめず定時制高校に進学した生徒は「定時制の少人数教育は自分に合っていて、アルバイトもできる。アルバイトではどうすれば仕事を効率的にできるか考え、先輩に褒められるとやりがいを感じる。入学してから明るくなり活発になれた。今後も新しい環境に飛び込む勇気を持ち、自分自身の可能性を信じて真剣に物事と向き合っていきたい」と述べた。

 また、高校に入学し駅伝に打ち込んでいた矢先、がんを発病。家族や周囲の支えで病気を乗り越え、現在は仕事をしながら通信制に通う生徒は「今は生きて働けることにこの上ない喜びを感じている。多くの人に勇気と笑顔をもらったので自分も周囲の人に恩返しをしていきたい。生きていることは当たり前のことではない。1分1秒を大切に生きて」と呼び掛けた。

 審査の結果、最優秀賞には「感謝と宿命」と題して発表した庄内総合高通信制の後藤大良さん(2023年度入学)が選ばれた。後藤さんは来月17日に六本木ヒルズハリウッドプラザ(東京都)で行われる全国高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会に出場する。

これまでの経験などをもとに意見発表する生徒
これまでの経験などをもとに意見発表する生徒


2024年(令和6年) 10月5日(土)付紙面より

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ハンコタンナ姿で稲刈り 南平田小 天日干し後親子行事で味わう

 酒田市の南平田小学校(木村克範校長、児童211人)の5年生が2日、学校近くの実習田で、伝統の「ハンコタンナ」姿などで稲刈りを体験した。

 同校では1993年から毎年、同市飛鳥の農業、土田伸平さん(35)方の水田10アールを借り、5年生が総合学習の一環として田植えから稲刈りまで一連の作業を体験している。

 この日は児童33人が参加。木村校長が「7月の大雨でせっかく育てた稲を収穫できない地域もある。稲刈りができることに感謝して取り組んで」などあいさつ。児童たちは土田さんから「刈り取りをする際に、鎌は刃先を下に向けて」など注意点を聞いた後に田んぼへ。黄色く実りこうべを垂れた稲穂の中、高さ約40センチに成長した「つや姫」の稲の束を丁寧に刈り取り、8束ずつ麻ひもで結ぶなど熱心に取り組んだ。参加した小松莉子さん(10)は「稲刈りは初めて。最初は想像以上に大変だったけど、慣れてきたらどんどん刈ることができて楽しかった」と話していた。

 この日刈り取った稲はくい掛けして天日干しされた。収穫された米は精米され、親子行事で味わう予定。

ハンコタンナ姿で稲刈りする南平田小児童
ハンコタンナ姿で稲刈りする南平田小児童



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