2018年(平成30年) 10月31日(水)付紙面より
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出羽三山の開祖・蜂子皇子のつながりで鶴岡市由良地区と交流のある京都府宮津市由良地区の住民らが来庄し30日、鶴岡市役所を表敬訪問した。宮津市は今年5月、日本遺産「荒波を超えた男たちの夢が紡いだ異空間―北前船寄港地・船主集落」に追加認定された。丹後由良の一行12人は11月1日まで2泊3日の日程で滞在し、40年ほど続く庄内由良の住民との友好の絆を深めるほか、北前船寄港地ゆかりの酒田市の関連施設を視察し、北前船を軸にした今後の交流について探ることにしている。
飛鳥時代に崇峻天皇の第三皇子の蜂子皇子が政変を逃れ、丹後由良から舟で庄内由良にたどり着き、出羽三山を開いたとの伝説がある。この伝説を元に1978(昭和53)年、庄内由良の文化財愛護協会関係者が丹後由良を訪れたのが両由良地区の住民交流の始まりで、85年に「友好浜の宣言」を行い盟約締結後、約3年ごとに地元小学生の相互訪問を継続するなど交流を深めている。
丹後由良からは6年ぶりの来庄で、升田榮二丹後由良自治連合会長を団長に同連合会や地区公民館、由良の歴史を探る会のメンバー、上田清和宮津市副市長ら12人が訪れた。
市役所の表敬訪問で、山口朗副市長、遠藤米太郎由良自治会長らが出迎え、山口副市長は「鶴岡市は、北前船の寄港地だった加茂港も日本遺産への追加認定を検討している。宮津市や丹後の由良地区と連携を深めていきたい」と歓迎。升田会長が「地元には加茂や酒田に来た北前船の船頭の子孫もいる。蜂子皇子の伝説とともに、北前船のつながりも互いの子どもたちに伝え、この歴史と文化を後世につないでいこう」と応じた。
丹後由良一行は30日、鶴岡市にある日本遺産・出羽三山の視察で国宝・羽黒山五重塔、三神合祭殿などを訪れ、31日は酒田市役所を表敬訪問の後、北前船寄港地関連で旧鐙屋や本間家旧本邸を視察し、鶴岡市の善寳寺なども訪れる。
北前船船頭の子孫で「丹後由良北前船末裔(まつえい)の会」の加藤正一さんは「北前船で庄内からは米や紅花が運ばれ、丹後からは油やそうめんなどが積み込まれた。古文書に加茂の人々と交易していた記述があり、丹後の由良から庄内に移り住んだ人がいたかもしれず、歴史ロマンを感じさせる。北前船を介した丹後と庄内のつながりを詳しく調べてみたい」と話した。
2018年(平成30年) 10月31日(水)付紙面より
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鶴岡出身の作家・藤沢周平をしのぶ会「寒梅忌」が来年1月27日(日)、鶴岡市中央公民館市民ホールで開かれる。鶴岡藤沢周平文学愛好会(萬年慶一代表)が一般公開の顕彰事業として、藤沢さんの命日(1月26日)の直近の日曜日に開催してきたが、今回の20回の節目を最後に終了する。
20回寒梅忌は、第1部として同愛好会メンバーが「寒梅忌20年の歩み」と題して対談を行う。第2部は元NHKエグゼクティブアナウンサーで京都造形大教授の松平定知氏が、藤沢作品「蝉しぐれ」最終章を朗読するなど記念講演を行う。松平さんは16回寒梅忌でも講師を務めた。当日は同会場談話室で寒梅忌に関わる絵画や切り絵、写真などの作品を展示する「絆展」も開催する。
当日は午後1時開演、定員300人。入場無料だが、一般は入場整理券が必要。入場希望者は〒999―7548、鶴岡市みずほ12―5、鶴岡藤沢周平文学愛好会事務局に往復はがきで申し込む。問い合わせは同愛好会事務局の川井さん=電080(3333)7372=へ。
同愛好会では「厳冬期に開催してきたが、来年度から季節のよい時期に新生『藤沢周平をしのぶ会』を立ち上げ、会員の交流を図っていく」と話している。