2025年(令和7年) 3月7日(金)付紙面より
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国土交通省が山形・新潟県境区間で「朝日温海道路」として整備している日本海沿岸東北自動車道(日沿道)のうち、庄内側の鼠ケ関トンネル(延長1242メートル、仮称)の掘削工事が中断したことが、5日分かった。工事を担当する同省酒田河川国道事務所によると、同トンネルは全体の3分の2まで掘削が進んだものの、掘削箇所の地層で脆弱(ぜいじゃく)な地質が続き、この対策に時間と費用を要し、工事の完成が見通せない状況になっているという。今後、残る区間の地質調査を行い、地層状況を把握した上で、後続工事の発注を行う予定。
朝日温海道路は朝日まほろば(新潟県村上市)―あつみ温泉間40・8キロ。鼠ケ関インターチェンジ(IC、仮称)を含む庄内側の延長は6・7キロ。計画では橋や5本のトンネルによる構造物が約6割を占める。
庄内側のトンネル5本(いずれも仮称)のうち、あつみ温泉IC近くの大岩川トンネル(延長1058メートル)は2020年11月に貫通した。最長の鼠ケ関IC近くの鼠ケ関トンネルは21年10月に早田側から掘削工事が始まったものの、柔らかい泥岩層が続き、掘削後にトンネルの変状が見られたため、23年5月から工事を一時中断して変状対策を実施。対策完了に伴い、24年8月20日から掘削を再開したばかりだった。今月上旬に再度中断した。これまでの掘削延長は811メートルまで進み、掘削率約65%。貫通までの残りは431メートルとなっている。
今後の対応について、同事務所は荘内日報の取材に対し、「掘削する区間の調査を行い、地層状況を可能な限り把握した上で、必要となる工事費の予算要求を行い、後続工事を発注する予定」としている。工事の再開時期や鼠ケ関トンネルの貫通時期に関しては「未確認区間の地質の状況が大きく影響するため、現時点では見通せていない」とした。工事中断について同事務所は今月初め、地元の自治会などにも説明した。
一方、22年度に掘削に着手した小岩川第2トンネル(延長473メートル)は今月中に貫通の見込み。引き続き、早田トンネル、小岩川第1トンネルの掘削に着手する方針。