2023年(令和5年) 10月13日(金)付紙面より
ツイート
在来作物「越沢三角そば」のブランド化などで地域づくりを進めている鶴岡市温海地域の越沢自治会(伊藤治会長)が、農林水産省と財団法人日本農林漁業振興会による「第62回農林水産祭」のむらづくり部門で、内閣総理大臣賞に輝いた。11日に発表された。天皇杯に次ぐ賞で、東北では唯一の受賞。地区の活性化に向けたビジョンのもと、住民団体やソバの生産組合など関係団体と連携した住民総参加による地域づくりが評価された。伊藤会長は「長年の取り組みが評価されて大変ありがたい。県内外からも徐々に在来そばが認知されていると実感している。今後も外部の方の支援を取り入れながら在来そばの取り組みを中心に活動を続けていきたい」と喜びを語った。
越沢地区は山間部にあり、現在74世帯・224人が暮らす。自治会が地区の中学生以上を対象に実施したアンケートなどを基に活性化ビジョンを作成し、自立した地域づくりを行っている。
在来作物に認定された「越沢三角そば」のブランド化に向け、自治会が全量を固定価格で買い取る仕組みを構築し、運営するそば店「まやのやかた」で提供しているほか、種子の持ち出しや交雑の防止にも努め、3年前には商標登録を行った。生産者は当初の2戸(作付面積約0・8ヘクタール)から17戸(同約14・9ヘクタール)に拡大している。
やまがたの棚田20選の「越沢の棚田」、里の名水やまがた百選の「郷清水」の保全活動や遊歩道整備など環境整備にも取り組み、越沢三角そばの振興とともに地域内外との交流創出を図り、住民の意識と意欲の醸成と併せ地元の資源や特性を生かした地域づくりに大きな成果を上げていることが評価された。
農林水産祭の表彰は7部門ある。むらづくり表彰は地域のコミュニティー機能の強化、農山漁村の健全な発展などにつなげることを目的に1979年度から行っている。表彰式は11月23日、東京の明治神宮会館で行われる。