2023年(令和5年) 12月21日(木)付紙面より
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県の補助金を活用した物価高騰対策の消費喚起事業として、鶴岡市が全市民に配布した1人当たり3000円分の「消費喚起クーポン券(割引券)」の使用期限が、今月31日に迫っている。クーポン券は、飲食店のみで使用できる飲食券(500円券3枚)と、参加全店で使用できる全店共通券(同)の2種類あるが、飲食券の利用が伸び悩んでいる。「外に出かけて飲食する機会が少ない」「1000円以下の支払いには使えなくて、使い勝手がよくない」といった市民の声がある。市は「飲食券は店舗内での利用のほか、テイクアウト利用もできる」として、年末の消費に向け、クーポン券の利用を呼び掛けている。
クーポン券事業は鶴岡商工会議所、出羽商工会、市金融協会、市で組織する実行委員会が担当。約11万9400人を対象に世帯ごとにまとめて発送し、10月23日から使用が始まった。事業費約3億6000万円の半額を県の補助金、5418万円を国の地方創生臨時交付金で賄い、残る1億2773万円を市が負担した。支払い額1000―1999円に1枚、2000―2999円なら2枚、3000―3999円なら3枚といった形で利用できる。
事業加盟965店の全店で利用できる共通券は、スーパーや青果店、鮮魚店、精肉店などの小売店、さまざまなサービス提供店など、日常的な場面で支払いに使われ、利用が進んでいる。市民からは「共通券はすぐに使い切った。でも飲食券はまだ手元にある」といった声が聞かれる。「1000円に満たないラーメンや定食には利用できない。普段使いしにくい」などが飲食券利用への感想。市にも「飲食店に行って食べないといけないのか」といった問い合わせが多くあるという。
飲食券を利用できる店舗は、旅館・ホテルや菓子店なども含めて426店ある。実際は自宅に持ち帰るテイクアウトにも利用できるが、そうした使い方の周知が行き届いていないようだ。事業を担当する市商工課は「クリスマスケーキ、年越しそば、おせち料理の購入、旅館などでの忘年会など、この時期の買い物や支出に飲食券を利用してほしい」と呼び掛けている。
2023年(令和5年) 12月21日(木)付紙面より
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鶴岡市の羽黒高校2年生がプレステージ・インターナショナル山形BPOパーク(酒田市)と取り組んでいる職業体験授業「デュアルシステム」の成果発表会が19日、同校で行われた。「アランマーレのホーム戦を盛り上げよう」をテーマに、磨きをかけたアイデアを発表した。
デュアルシステムは、学校と企業が一緒になって生徒を育成する教育プログラム。地元企業への就職促進、即戦力となる人材育成を図ろうと、同社では2018年から地元高校とタッグを組みプログラムを展開、実践的なビジネス体験の場を提供している。羽黒高との実施は本年度が初めてで、今年5月から約20回にわたり社員が同校を訪問。キャリアデザインコースの生徒26人がアドバイスを受けながら▽アランマーレ×羽黒高オリジナル商品制作▽ホーム試合MC参加▽SNSでの広報活動―などのプランを練っている。
この日の成果発表会では代表生徒5人が教諭を前に、スパイクを打つ選手をモチーフにデザインしたオリジナルワッペンの商品化プランを発表。「鶴岡シルクとのコラボを目指す」「若者がアランマーレに興味を持ってくれそうな要素を入れる」といった展望を話し、教諭から「(コラボするなら)もっと鶴岡シルクらしさをデザインに取り入れてみては」「PRにも力を入れていくべき」などとアドバイスをもらった。
今回発表したプランは来年3月、鶴岡市小真木原総合体育館で行われるホーム戦に向けてさらに検討を重ね、実際の製品化を目指す。
2023年(令和5年) 12月21日(木)付紙面より
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鶴岡市史編纂委員の本間勝喜さん(79)=鶴岡市鳥居町=が江戸期の庄内に見られた人物や文化、慣習などを記した「江戸時代の庄内あれこれ」を自費出版した。大庄屋や下級家臣の旗指(旗差)の系譜や人柄、庄内における正月の様子などについて、史料から読み取った当時の事柄に独自の解釈を添えている。
本書は8章で構成しており、1~3章は比較的近年に本間さんが執筆したもので、いずれも未発表という。4~8章は1999年から2020年にかけて荘内日報の紙面で連載されたものを中心に再編集した。
第1章「処罰された大庄屋二家」では、不正に関わったとして処分された大滝・佐藤の二家について記した。このうち大滝家は青龍寺村(現在の黄金地区)で、各村の嘆願や書類提出を取り次ぐ役目を担う大庄屋だったとされる。
大滝家11代の六郎治は農民の人望を集め、若くして800人規模の騒動を収めるほどの人物だったが、不正に関わり逃亡の末に自害。庄内藩初期から世襲で大庄屋を務めてきた大滝家が家名断絶となる一連の流れをまとめている。
史料に残る地域の人物や家系、周囲との関わりなど詳細を明らかにする一方、第6章「庄内の茶」では、庄内藩の初代藩主・酒井忠勝公が熱心だったため家老や鶴岡・酒田の町人の間でも茶道が盛んとなったことや、鶴ケ岡城下の寺や現庄内町の農村部で茶が栽培されていたことを紹介。
第7章「庄内の正月」では、正月に武士や庶民の若者の間で行われていた「水あびせ」の風習や、家老の正月の過ごし方などを解説している。特に「水あびせ」については、厳格な行事が時代が経つにつれて若者たちの派手な遊びとなり、寒中に冷水を浴びて死者が出たため、禁止令が出されたことなども記している。
本間さんは「昔はこんなことがあったのかと、庄内の歴史を身近に感じてもらえれば」と話している。
本書はA5判、302ページ。ぶっくすプロほんの森で扱っている。1冊2000円(税別)。問い合わせは同店=電0235(28)1639=へ。