2023年(令和5年) 4月16日(日)付紙面より
ツイート
外国クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(約11万6000トン・英国船籍)が14日、4年ぶりに酒田港に寄港した。酒田市の中町モールでは同日、高校生らのボランティアスタッフが交流イベント「2023ドキドキおもてなしツアー」を展開。呈茶やまち歩きなどで外国人観光客を楽しませた。
交流イベントは、同市の官民を挙げたおもてなし推進組織「酒田交流おもてなし市民会議」(会長・丸山至市長)が、昨年10月、クルーズ船観光客をもてなすイベント案を考えるワークショップを開催。参加した高校生らのアイデアを基に、1―3月に4回の会議を重ね、中町モールで書道や着物・甲冑(かっちゅう)の着付け、呈茶などの体験コーナーと、相馬樓や山王くらぶなどを案内するまち歩きコースを組み合わせたイベントを企画した。
この日は酒田光陵、酒田西、酒田東、酒田南の生徒と東北公益文科大の学生らが参加。午前9時の開場とともに、ダイヤモンド・プリンセスの乗客を乗せたシャトルバスが次々と到着。体験コーナーや酒田のお土産などが並ぶ物販コーナーが大勢の観光客らでにぎわった。
このうち、呈茶コーナーは、酒田光陵、酒田西、酒田南の茶道部員らが担当。観光客を前に、緊張した面持ちで、お菓子の紹介や茶の飲み方などを英語で伝えた。米国カリフォルニア州サンフランシスコから夫婦で訪れたというマーリー・アーボレッダさん(72)は「とてもクールな飲み物。日本は3回目だが酒田は初めて。とても緑が多く美しい魅力的な都市。ドラムが好きなので太鼓で歓迎されてとてもうれしい」と笑顔で話していた。
接客した玉川拓弥さん(17)=酒田南3年=は「授業で習う英語と発音などが全然違うのでちゃんと伝わったか心配だが、喜んでもらえて良かった」と話していた。
2023年(令和5年) 4月16日(日)付紙面より
ツイート
酒田市に江戸時代から伝わる土人形「鵜渡川原(うどがわら)人形」の保存・伝承に取り組む「鵜渡川原人形伝承の会」(高瀬靖会長)は、土人形や傘福のいわれなどをまとめた冊子「山形庄内の土人形&傘福(保存版)」を出版した。
鵜渡川原人形は江戸時代末期、旧鵜渡川原村(現在の酒田市亀ケ崎)で鋳物工場を営んでいた大石助右ヱ門が作り始めたとされる。地名から「鵜渡川原人形」と呼ばれ、庶民の暮らしに息づいた手作りの人形として親しまれている。
冊子はフルカラーで、鵜渡川原人形の歴史や種類のほか、江戸時代後期から鶴岡で作られ、現在は廃絶しているという「瓦人形」、酒田の広田地区で作られていたが、途絶えてしまった「広田人形」を紹介。また、女性たちが子授けの願いを込めて神社に奉納したという傘福のいわれを記した紙芝居「傘福の願い」を掲載し、より深く理解してもらうため、挿絵だけでなく実際の写真も添えた。
冊子は100部製作。A4判、48ページ。国立国会図書館、庄内の各図書館、県内の美術館、大学などに寄贈した。鵜渡川原人形職人で同会アドバイザーを務める本間光枝さんは「研究職などに正しい資料として活用してもらい、理解を深めてもらえれば」と話している。