2023年(令和5年) 4月26日(水)付紙面より
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今年9月いっぱいで閉館する酒田市一番町の酒田市立資料館(岩浪勝彦館長)で、最後の企画展となる「ありがとう45年未来へとつなぐ酒田の宝物―文化・娯楽資料」が開かれ、多くの来館者が訪れている。
同館は1978年、酒田大火の復興記念事業として、地元の歴史や文化を伝える資料を後世に伝えていくことを目的に建てられ、酒田の歴史にまつわる企画展示を行ってきた。市内の小・中学生らの学習の場としても活用され、展示を通して長く地元民から愛されてきたが、建物の老朽化に伴い今年9月末で閉館、45年の歴史に幕を閉じることが決定した。今後は、市総合文化センター内の中央図書館跡に、市立光丘文庫などとともに「文化資料館(仮称)」として2024年度開館する予定。
今回は最後の企画展として、館の歴史を振り返りながら、6000点余ある収蔵品の中からこれまで展示機会の少なかった資料を中心に、▽文化・娯楽資料▽歴史資料▽人物資料―と3回に分けて展示。第1弾の「文化・娯楽資料」編では、脳出血で倒れ、半身不随になった故土門拳さんが左手で揮毫(きごう)した資料館看板の書、酒田ゆかりの画家や工芸職人が残した作品、酒田まつりの前身「山王祭」の立山鉾(たてやまぼこ)のびょうぶ絵など資料52点を展示している。
22日に行われたギャラリートークには、市民ら約10人が集まり、同館の調査員3人が展示資料について解説を行った。映画館の歴史コーナーでは岩浪館長自ら解説し「酒田の映画文化は明治期からで、演劇や寄席の劇場にスクリーンを張って上映していた。その後1919年に開館した常設映画館の大正館を皮切りに五つの映画館が建てられ、日本の映画全盛期を盛り上げた」と述べ、参加者たちは興味深く聞き入っていた。
第1弾の展示は6月4日(日)まで。