2023年(令和5年) 5月3日(水)付紙面より
ツイート
酒田市松山地域にある中山神社の例大祭「松山まつり」が1日、同地域中心部で行われ、呼び物の「武者行列」(酒田市指定無形民俗文化財)で、4年ぶりに武具甲冑(ぶぐかっちゅう)の武者たちが堂々の行進を披露した。
同神社は、江戸前期の1647(正保4)年に庄内松山藩の初代藩主・酒井忠恒公が立藩した翌慶安元年に創建。その後、庄内藩祖・酒井忠次公と、徳川家康の嫡男・信康公を祭るために社殿を造営した。信康公を祭るのは、織田信長の命で同公が切腹した際、忠次公が深く関わっていた縁。
武者行列は、1757(宝暦7)年ごろから祭典の神輿(みこし)渡御を警護したのが始まりといわれ、250年以上続いている。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年から中止が続いており、開催は4年ぶり。今年は中山神社の氏子や東部中学校の生徒ら93人が参加した。
午後1時過ぎ、神社前を出発。かみしも姿の武者を先頭に、鉄砲組や弓組、足軽組、騎乗の行列奉行、侍大将らの鎧(よろい)武者が太鼓の音に合わせ、松山歴史公園や仲町など中心部約4キロを3時間ほどかけて練り歩いた。
このうち、松山歴史公園では、松山城大手門(県指定有形文化財)をバックにした姿が特に“絵”になることから大勢の見物客が待ち受け、盛んにカメラのシャッターを切るなど迫力ある歴史絵巻を楽しんでいた。
酒田市市条の八幡神社(小野信幸宮司)で1日、古くから伝わる神事「流鏑馬(やぶさめ)」が行われ、神馬に乗った射手が放った矢が的を射ると、祭り客らから大きな拍手が送られた。
同神社は平安時代前期の877(元慶元)年の建立。流鏑馬は天正年間(1573―92年)の「出羽国一之宮両所山縁起」に記載されているなど、その歴史は古く、毎年5月1日に行われる同神社の「神幸祭(みゆきさい)」の中で、その年の稲の作柄を占う神事として伝わっている。近年は寒河江市の「寒河江八幡宮流鏑馬保存会」の若手会員が射手を務めている。
神社でおはらいを受けた射手は、神馬にまたがり近くの荒瀬川左岸に設けられた的場へ。約10メートル離れた5つの的を目掛けて矢を放った。柔らかな日差しで心地よい風が吹く中、土手や同川に架かる八幡橋には大勢の祭り客らが訪れ、雪を抱いた鳥海山、新緑を背景に射手が構えると盛んにシャッターを切っていた。
2023年(令和5年) 5月3日(水)付紙面より
ツイート
「オランダせんべい」「鏡せんべい」の酒田米菓(酒田市両羽町、佐藤栄司社長)などは、新商品「オランダせんべい煮干し塩味『にぼせん』」を開発し4月27日、市産業まちづくりセンター・サンロクで発表会を開催した。文化庁「100年フード」に認定された「酒田のラーメン」の調理過程で出る廃棄煮干しの再利用を模索し、市内の多くの企業・団体が力を結集して生み出した商品。「やみつきになる味」と早速好評を得ている。
「酒田のラーメン」の特徴の一つとして煮干しを用いた出汁(だし)がある。これまで出汁を取った後の煮干しは廃棄するしかなく、「酒田のラーメンを考える会」(斎藤直会長)によると、加盟する市内12店舗で月に計約500キロを捨てていたという。
全国的にも評価が高い酒田のラーメンを広く発信し、コロナ禍で疲弊した地域経済の活性化、にぎわい創出につなげようと昨年秋、「酒田のラーメンexpo2022」を企画・運営した実行委員会(同市、小田かほる委員長)は昨年10月以降、SDGsの観点から廃棄される煮干しを用いた新商品の開発に着手。酒田米菓、酒田のラーメンを考える会と共に、▽市麺類食堂組合▽さかたの塩▽小松写真印刷▽東北公益文科大ラーメン同好会「麺恋(めんごい)の」―など多くの企業・団体の協力を得てこのほど完成にこぎつけた。「にぼせん」はせんべい生地に粉末状にした煮干しを練り込み、表面にさかたの塩が開発した「煮干し塩」をまぶしている。食べると口の中に煮干しの香ばしい風味が広がり、やみつきになる味という。
発表会には酒田米菓のマスコットキャラクター「オランダちゃん」も出席。同社の小野賢人ゼネラルマネージャーは「何度も試行錯誤を重ね、おいしいせんべいに仕上げた。廃棄される煮干しが地域貢献の一助になれば」と。さかたの塩の大川義雄社長は「化学調味料を一切使わず、煮干し本来の風味と塩のみでおいしさを出している。にぼせんがきっかけでごみを減らしてみようと思うきっかけになれば」と話した。
小田委員長によると、初回生産分で約40キロの廃棄する予定だった煮干しを使用したという。にぼせんは1袋194円(税込み)。酒田米菓の直営店、同市の夢の倶楽、鶴岡市の庄内観光物産館などで扱っている。
2023年(令和5年) 5月3日(水)付紙面より
ツイート
オーストラリア、モンゴル、ニュージーランドに短期留学、インターンシップを経験した酒田市の東北公益文科大学(神田直弥学長)の学生による報告会が4月26日、学内で開かれ、多くの学生が聴講。学生たちが外国での貴重な体験を報告した。
国際的視野、国際感覚を身に付けることで、自国の発展、世界平和などに貢献できる人材の育成に向け、公益大では学生の海外での留学やインターンシップを積極的に支援している。今回はオーストラリアに短期留学した2人、ニュージーランドで短期留学とインターンシップを体験した7人、モンゴルでインターンシップを経験した5人がそれぞれ報告した。
この日は海外留学などを考えている学生ら約20人が聴講。体験した学生たちはスライドを使って、現地の食事、物価、実際に感じたことなどについて紹介した。
西オーストラリア大学で約1カ月留学した佐藤真澄さん(20)、高橋美穂さん(19)は「パースの町で道に迷った時、バスの運転手さんが身ぶり手ぶりを交えて熱心に教えてくれて、現地の人たちの温かさを感じた」と。ニュージーランドで短期留学とインターンシップを経験した庄司光咲さん(19)は「いくつかの環境保護団体の活動に参加した際、集合場所の地図が間違っていたり、事前連絡がうまく取れていなかったりというハプニングもあったが、それも含めていい経験になった」と発表した。
モンゴル日本人開発センターでインターンシップを経験した佐藤隆太さん(21)は「センターの日本人スタッフが、日本のバス会社とモンゴル人のスタッフの会話を同時通訳しているのを見て、とても格好良いと感じた」と、各地で充実した日々について語った。