2023年(令和5年) 5月7日(日)付紙面より
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酒田市田沢地区の薬師神社本殿から胎蔵山(729メートル)山頂の同神社「奥の院」まで、御神体の薬師如来像(金剛銅製、高さ約40センチ、重さ約16キロ)を背負って運び上げる「御神体背負い上げ」が3日行われ、参加者がこの一年の健康などを祈った。
胎蔵山は約1200年前に弘法大師が開山し、古くから山岳信仰の山として親しまれてきた。昔は山頂に神社本殿があり、中に薬師如来像を御神体として安置していたが、100年以上前に盗難事件が発生。新しい御神体を作る際に「地元民の目が届くところに」と、麓の八森集落に本殿を移築。旧本殿は「奥の院」として、年に1度御神体を山頂まで運ぶ神事が行われるようになったという。地域活性化に取り組んでいる「胎蔵ロマン会」(岩間政幸会長)が毎年協力し、行っている。
この日は同会の会員含め、県内外から30人余が参加。午前7時に同神社本殿に集合しお参りした後、今年当番となった地区の代表として、久松渉8番組長が御神体を神社から下ろし、2キロほど離れた胎蔵山登山口まで車で移動した。
一行は風のない穏やかな天候の中、背負子と合わせて約20キロにもなる御神体を代わる代わる背負い、所々雪が見える登山道を歩いた。友人らと共に参加した櫻井敦子さん(48)=鶴岡市=は「思ったよりも重かった。何年も地元の人たちがつないできた重みも一緒に感じた」と背負った感想を話した。
昼近くに山頂の「奥の院」に到着。参加者は1年ぶりに奥の院に鎮座した御神体に手を合わせ、健康などを祈願した。
2023年(令和5年) 5月7日(日)付紙面より
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酒田市幸町一丁目の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」(小林一浩所長)が5日、昨年のオープンから1周年を迎え、「こどもの日」ということもあり、記念事業の一環として小学生以下の子どもたち先着101人に記念品を贈呈。最初の1組には前田聡子市教育委員会社会教育課長が直接手渡して節目を祝った。
中央図書館、観光案内所などを併設するミライニは▽学び、成長する場▽交流の場▽情報発信の場▽子育ての場―の4つを基本方針に掲げ、昨年5月5日にオープンした。このうち図書館は書架や家具など酒田産木材をふんだんに使用、伝統工芸も取り入れて酒田らしい文化、自然、風土を表現しているのが特徴。1階に「木玉プール」「おはなしの部屋」がある児童エリア、2階には詩人の吉野弘さん(1926―2014年)、世界的写真家の土門拳さん(1909―90年)ら同市出身者のコーナーを設けた。
図書館や勉強室の利用だけでなく、「エンガワラウンジ」や広場を活用した音楽をはじめ各種イベントを随時開催し大勢が集うなど人気を集め、入館者は今年1月に年度目標だった40万人を突破、先月15日には50万人に達した。
5日最初の1組になったのは、大型連休で静岡市駿河区から酒田市光ケ丘五丁目の母親の実家に帰省した前澤亮汰さん(13)、健人君(9)、莉紗さん(7)の3きょうだい。ミライニが入る複合施設・光の湊A棟内の「月のホテル」に前泊し、実家に向かうまでの時間を利用し来館したという。
前田課長から、オリジナルの落書き帳やクリアファイル、読書手帳などとともにA棟内のレストラン「月のみち」の食事券を受け取った亮汰さんは「時間があるから寄っていこうと来館した。ミライニは初めてで、とてもきれい。酒田は自然豊かなところが好き」と話した。
小林所長は「『ミライニに行けば何かある』という期待感があると思う。未来に向けて5年、10年とより多くの人が来館する施設にしたい。そのためにも新しいことを次々とやっていきたい」と話した。