2024年(令和6年) 7月21日(日)付紙面より
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酒田市浜中の砂防林で18日、クロマツ保全活動「Save the クロマツ2024―未来へ残そう!庄内海岸林」が行われ、東北公益文科大(同市)や山形大農学部(鶴岡市)の学生らが下刈りや除伐に取り組んだ。
活動箇所は、個人所有のクロマツ林をさまざまな主体が借り受けて森づくり活動を行う「森林ボランティアオーナー区画」。長く手付かずの状態になっていたが2018年10月、鳥海山・飛島ジオパーク「ジオガイドの会」メンバーが酒田市などの協力で下刈りなどを実施。翌年以降、呉尚浩公益大教授(公益学、環境社会学など)、菊池俊一山大農学部准教授(林学、森林工学など)のゼミ生、ジオガイド、庄内海岸のクロマツ林をたたえる会(梅津勘一会長)、万里の松原に親しむ会(三浦武会長)、ひらた里山の会(佐藤忠智代表理事)の会員、県庄内総合支庁森林整備課職員ら産学官民が一体となって作業を続けている。
この日は午前中までの雨も上がって気温、湿度とも上昇、体を動かすだけで汗がどっと噴き出すあいにくの天候となる中、両大学の学生計24人はじめ59人が参加、「めざせ、劇的before&after」を合言葉に同区画約0・8ヘクタールで作業に取り組んだ。参加者は長い鎌を手にクロマツの周囲に茂った草や細い雑木を刈ったり、チェーンソーで切った太い雑木を運んだりした。
50分ほどの作業で一帯は見違えるほど、すっきりした趣に。たたえる会の梅津会長は「一帯をきれいにするのではなく、森林環境を良くするのがこの作業の目的」と。菊池准教授は「松くい虫被害もあってクロマツ林は危機的状況。日頃から私たちはクロマツの恩恵を受けており、この作業はその恩返し。多様な世代が集まって作業することに意義がある」と話した。
2024年(令和6年) 7月21日(日)付紙面より
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酒田市の酒田光陵高校環境技術科の3年生6人が18日、同市の酒田特別支援学校(五十嵐仁校長)を訪問。これまでの学びを生かして同校知的障がい教育部高等部の1年生5人に紙すきを指導し、会話を楽しみながら相互交流を図った。完成した再生紙の活用法は今後、一緒に検討していく方針。
光陵高が採択を受けた、県立高校の特色化・魅力化を図り、次代の山形を構築する人材の育成・確保に取り組む県魅力ある県立高校づくり推進事業「フューチャープロジェクト」の一環。今春に環境技術科を巣立った卒業生は昨年度、シュレッダーに掛けて小間切れになった紙から再生紙を作り出す課題研究に取り組んだ。研究発表会を聴講した現在の3年生6人が本年度、先輩たちの研究を引き継ぎ、さらにブラッシュアップさせようと今回、SDGsの達成、インクルーシブ教育の推進による共生社会の実現に向け、酒田特支との地域連携共同研究「紙の絆―共に紡ぐSDGsの未来」を展開することにした。
この日は3グループに分かれそれぞれ作業。小間切れになった紙に水を含ませたものをミキサーで泥状にし、水を張ったたらいの中に入れて網と巻きすを挟んだ型枠ですくい上げると、厚みのある一枚の紙に。ドライヤーやアイロンでよく乾かして完成させた。両校の生徒たちは作業中、好きなアニメを語り合うなど相互に交流していた。
両校によると、再生紙の活用法として、はがきやしおり、ランプシェードのかさなどが候補として挙がっているという。酒田特支の佐藤匠さん(15)は「地域の先輩たちと交流できてうれしい。再生紙に厚みと強度を持たせて紙皿にするのもいいかも」と。光陵高の中村宏聖さん(18)は「昨年取り組んだ先輩から『引き継いでくれ』と言われ参加した。今回の活動を生かし、さらに改良を加えてより良いものにしたい」と話した。