2005年(平成17年) 8月23日(火)付紙面より
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温海町の名所をめぐる観光周遊バスが21日、運行され、参加者が古典芸能の里・山五十川地区を観光するとともに、同町早田の道の駅「しゃりん」で、日本海の夕日をバックに山戸能を上演する「夕陽能」を堪能した。
昨年まで夏休み期間に運行していた周遊観光バス「赤かぶくん」に代わる企画として、温海町観光協会が夕陽能の上演に合わせ運行した。コースは温海温泉から海岸沿いを北上し、山五十川地区にある町古典芸能収蔵館や国指定天然記念物「玉杉」などを見学。最後にしゃりんで夕陽能を鑑賞する約4時間の観光で、夫婦連れや女性グループなど町内外から22人が参加した。
最初に訪れた山五十川地区の町古典芸能収蔵館は昨年に完成。地区に伝わる県無形民俗文化財の「山戸能」と「山五十川歌舞伎」の衣装や道具類、資料などが保管・展示されている。参加者は館内を見学し伝統芸能に理解を深めるとともに、「あつみ昔話の会」の三浦牧さん(70)の語りも楽しんだ。
その後、玉杉を見学し、地区内の産直市で買い物しながら地元住民と触れ合った。参加した女性グループは「地域の伝統芸能を受け継ぎ、玉杉のような地域のシンボルを守っていく山五十川の人たちの気概に触れることができた」と感想を話した。
バスの中では、地元住民が務める観光ガイドが、各集落の歴史などを紹介しながら「見どころ多い温海」をPR。町内から参加した男性は「地元でも知らないことが多い」と感心していた。
メーンイベントの「夕陽能」の会場では、詰め掛けた大勢の能楽ファンやアマチュアカメラマンに交じり、参加者たちも日本海をバックにした特設ステージへ。
あいにく水平線には厚い雲がかかり、夕日が見えたのは一時だけだったが、「座揃囃子(ざぞろいばやし)」「恋慕の舞」、番能「竹生島(ちくぶじま)」が厳かに演じられた。番能の終盤では突然の雷雨に見舞われ、上演が中止となるハプニングがあったが、参加した50代の男性は「海風にあたりながら古典芸能を見ることができ満足」と喜んでいた。
町観光協会では「温海には見どころがたくさんある。観光資源を生かし、今後も周遊バスなどのイベントを企画していく」と話した。
日本海をバックに上演された山戸能