2006年(平成18年) 3月3日(金)付紙面より
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県立鶴岡工業高校(須田裕校長)の電気電子システム科の3年生たちが卒業記念に製作した電気ミニカーがこのほど完成し1日、同校正面玄関前で行われた完成発表会で初披露された。
同校では「ものづくり」を通し、新エネルギーなど環境問題に積極的に取り組もうと2001年から電気自動車の製作に取り組んでいる。03年には県内高校で初めて軽自動車を改造した電気自動車の車検合格を達成した。
今回製作した電気ミニカーは一昨年9月、当時2年生だった同科の生徒5人ほどのグループが、昨春卒業した先輩とともに、工業教育現代化研究会(秋山太三郎会長)の支援を受けて開発に着手、今年度から同科全体40人で製作を進めてきた。夏休みも毎日登校して改良を重ね、時には作業が深夜に及ぶこともあったという。
フレームには鉄材、車体にはガラス繊維強化プラスチック(G―FRP)を使用した。原動機は12ボルトのメーンバッテリー4基を直列につなぎ、定格電圧48ボルト、出力0・56キロワットを確保した。全長2・3メートル、車幅1・15メートル、車高1・38メートル、重量350キロ。最高時速は40キロ前後で、8時間の充電で約30キロ走行できる。一般家庭の電源で充電が可能。ハンドルや座席、ヘッドライトなどは中古部品を使っている。製作経費は9万2000円。ナンバーは原動機付自転車と同じものが使用される。
先月28日に鶴岡市へ申請してナンバーを取得し、2日の卒業式直前の完成となった。この日の完成発表会では同科3年生全員と須田校長、担任の平山豊教諭、同校城畔同窓会長で工業教育現代化研究会理事の黒谷虎雄氏など各関係者が集まった。
同校事務員の小野寺佳代さん(22)が記念の初試乗を務め、玄関前を1周。ガソリン車などと違いエンジン音もなくスムーズに走り出す姿に大きな歓声と拍手が上がった。小野寺さんは「少し不安だったが、生徒たちががんばってくれた車で走れてうれしい」と話し、生徒を代表して試乗した長谷川大輔君(18/)は「スムーズに走り、乗りやすい。今まで取り組んできたことが形になり、ずっと残るのが何よりうれしい。卒業式前に完成してよかった」と笑顔を見せた。
ミニカーは今後、安全性を高めた上で、環境問題の啓発や同校教員の近距離出張などで公務用として使うことを検討するという。
鶴工生が製作した環境に優しい電気ミニカーがお披露目された