2006年(平成18年) 11月30日(木)付紙面より
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庄内海岸の松原再生に向け、鶴岡市と酒田市、遊佐町の2市1町が中心となって再生計画を策定することになり、有識者らを交えた「庄内海岸松原再生計画策定委員会」の第1回会合が29日、酒田市公益研修センター多目的ホールで開かれた。財団法人日本緑化センター(本部・東京都港区、上島重二会長)が本年度から始めた支援事業「日本の松原再生事業」にこの2市1町が連名で申請し、全国で唯一の採択を受けて取り組むもの。来月から松原に関する調査に乗り出し、2008年3月までに再生計画を策定する。その後、同センターと共同で関係省庁や民間に対して支援要請を行い、計画を実行に移していく。
日本緑化センターの日本の松原再生事業は、衰退の危機にある松原を元気にする活動を通じて、地域の人たちが元気になる「人と松原の関係を再生する」モデルをつくるもの。本年度から5年間、年度ごとに1カ所ずつ選んでそれぞれ約250万円の活動費を交付し、最初の2カ年で調査、再生計画の策定、シンポジウムの開催などを実施。その後、さらに3カ年程度、計画の実現に向けて経費面を含め支援していく。
庄内海岸の松原は約300年前からクロマツの植林が始まり、現在は延長33キロ、幅1・5―3キロ、面積約2500ヘクタールという全国有数の規模。再生事業では庄内のほか、秋田県の風の松原、静岡県の三保の松原と計3カ所から申請があり、「人、体制、これまでの取り組み、モデルとしての位置づけなどの観点から」(同センター企画広報室)、庄内が唯一採択された。
再生計画の策定に当たる庄内海岸松原再生計画策定委員会は学識経験者、保全にかかわる民間団体、森林組合、2市1町、日本緑化センターの関係者ら、計14人の委員で組織した。
今後のスケジュールとして、来月から松原の健康調査(樹勢診断、広葉樹の侵入具合など)、基本調査(面積や構成、造成の経緯、文化・歴史的背景など)に着手して年度内に現状や課題を整理。07年度は再生計画の策定作業に入り、7月までに計画案をまとめ、住民の意見を聞いた上、取りまとめる。また、調査の成果を啓発用小冊子「庄内砂丘砂防林物語」(仮称)としてまとめ、08年2月ごろにはシンポジウムも開く予定。
この日の第1回会合には、委員と事務局の約20人が参加。委員長には山形大農学部の中島勇喜学部長、副委員長には庄内海岸のクロマツ林をたたえる会の砂山弘理事長を選出。今後のスケジュールなどを確認した。
庄内海岸の松原再生に向けた計画策定委員会