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2008年(平成20年) 1月29日(火)付紙面より

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幽玄の世界に浸る 「まつやま大寒能」ファン魅了

 「雪の能」として知られる「まつやま大寒能」が26日、酒田市の松山文化伝承館で行われた。県内外から訪れた能楽ファンが松山能(県指定無形民俗文化財)を鑑賞し、幽玄の世界に浸った。

 松山能は、江戸・寛文年間(1661―73年)に庄内松山藩の藩楽として定められた。明治以降は民間の演能団体・松諷社(しょうふうしゃ)に引き継がれ、現在まで伝えられている。毎年8月20日の神明神社祭典で神事能として奉納されているほか、同市松山地域の松山城大手門で演じられる薪(たきぎ)能(6月)も人気がある。

 寒の時期に演じられる大寒能は、明治期まで総光寺本堂で行われ、その後は長らく途絶えていた。1991年に県内外の能楽ファンで組織する「松山能振興会」が復活させ、同寺本堂で開催していたが、新酒田市誕生を機に一昨年から会場を松山文化伝承館に変更した。

 この日上演されたのは、子供狂言の「<盆山(ぼんさん)」と能「紅葉狩(もみじがり)」の2番。会場には約100人の観客が詰め掛けた。紅葉狩は観世次郎作。平安期、信濃の国(長野県)の戸隠山へ鹿狩りに出かけた平維茂(たいらのこれもち)が、山中にひそむ鬼女・紅葉を退治する物語。女面をつけた演者が舞台から下がり、その後鬼面をつけた姿で登場すると客席からはどよめきが起こっていた。

 開演前には抹茶が振る舞われたほか、演能の後は松山農村環境改善センターで直会にあたる「雪見の宴」が開かれた。観客は演能者と交流しながら、冬の城下町を堪能していた。
          

大寒能で舞われた「紅葉狩」。迫力ある鬼面が観客の目を引いた
大寒能で舞われた「紅葉狩」。迫力ある鬼面が観客の目を引いた



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