2008年(平成20年) 2月3日(日)付紙面より
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鶴岡市黒川地区の鎮守・春日神社の例大祭「王祇祭」が1日から2日にかけて行われ、黒川能(国指定重要無形民俗文化財)が同地区の上下両座の当屋で夜を徹して奉納上演された。
今年の当屋は、上座が渡部孝(屋号・権左衛門)さん=椿出、下座が清和庄右衛門(屋号・庄右衛門)さん=大杉。両座とも能5番、狂言4番を上演した。
1日早朝、扇の形をしたご神体「王祇さま」2体が春日神社から両当屋に移り、午後6時からそれぞれの当屋内に設置した舞台で奉納舞が始まった。例年、地元では「王祇祭の日には雪が降る」といったいわれがあり、この日も一日中断続的に雪が降り、夜には時折ふぶき、祭りムードを盛り上げた。
下座の清和さん方では、屋内に巨大な一貫目ろうそくがともされ、幼児の舞で魔縁を鎮め安穏を祈る「大地踏」で幕開け。場を清める「式三番」に続き、脇能「高砂」や赤頭・白頭2体の獅子が勇壮に舞う能「石橋」などが次々と演じられた。会場には笛や鼓の音が響き渡り、厳かに舞う演者の姿に全国から訪れた観光客は静かに見入っていた。
2日朝は、両座の若衆が競って王祇さまを神社に担ぎ入れる「朝尋常」の後、午前10時すぎから神社の舞台で再び能が奉納された。
続いて、先を争って社殿の棚に駆け上がる「棚上がり尋常」など、両座競争の神事が勇壮に繰り広げられた。
大勢の観客が見守る中、夜を徹して黒川能が奉納された=1日、下座当屋