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2008年(平成20年) 2月9日(土)付紙面より

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黒森歌舞伎受け継ごう 台本「解説書」使い出前授業 小学生が今年の演目学ぶ

 黒森歌舞伎(県指定無形民俗文化財)の正月公演(15、17日)を前に、地元の酒田市立黒森小学校(大泉則昭校長、児童64人)で7日、同歌舞伎の勉強会が開かれ、4―6年生が今年の公演演目「<近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)八段目・盛綱陣屋の場」の背景やあらすじなどを学んだ。

 黒森歌舞伎を演じる妻堂連中(佐藤進一座長)は本年度から3カ年、東日本鉄道文化財団の助成を受けて演舞場の改修や後継者育成などの事業に取り組んでいる。その一環でこのほど、今年の演目の台本の解説書が製作され、同書を使った勉強会が企画された。
 この日は、解説書を執筆した元黒森小校長、田村國雄さん(65)=同市松原南、市史編さん委員=が講師となり、4―6年生34人に授業を行った。

 田村さんは、黒森歌舞伎が約270年前から男性だけによる野郎歌舞伎の伝統を受け継いでいる歴史を紹介、「全国に誇れる。伝統ある歌舞伎を絶やさないで」と訴えた。

 また、「近江源氏…」については、大坂冬の陣で真田信幸、幸村兄弟が敵味方に分かれて戦った話を、徳川幕府に遠慮して鎌倉時代の話に置き換えて書かれたなど背景を説明。「主人公が主君への義理を取るか、肉親への情を取るか、苦しむシーンは、表情の変化だけで演じる難しい演技」と、見どころを解説した。

 子供たちは「これまで本歌舞伎はせりふが難しくて分からなかったが、内容を教えてもらったので、見たいと思った」など感想を述べた。

 解説書は小学生にも分かりやすいように、台本の原文(古語)にルビを振り、口語訳を添えたもので、黒森小に寄贈された。

 正月公演は15、17の両日とも、黒森の日枝神社境内の演舞場で、午前10時から少年太鼓や神事、正午から少年歌舞伎、午後1時から本狂言「近江源氏…」が行われる。

 ◇近江源氏先陣館・八段目盛綱陣屋の場

 鎌倉方と京方に分かれて戦う佐々木盛綱、高綱兄弟を中心とする物語。戦場で高綱の子・小四郎を生け捕りにした盛綱は、「弟は子への愛に迷い、思い切った戦いができないだろう」と、盛綱の母・微妙に小四郎を殺すように頼む。

 微妙はわが孫に自害を迫るが、果たせずにいると、「高綱を捕らえた」との報が入る。盛綱の主君・北条時政がやってきて、盛綱に高綱の首をあらためさせようとしたとき、小四郎が「ととさま、さぞ口惜しかろ」と飛び出し、自害する。盛綱が首をあらためると、本物でなく、実は、小四郎が命を捨てて首が本物であるかのような芝居をしたことを悟る。その思いに打たれた盛綱は、主君に「弟の首に相違ない」と告げ、主君を裏切った義ふんから、自分も自害の決意をする。

田村さん(左)から歌舞伎の話を聞く黒森小児童
田村さん(左)から歌舞伎の話を聞く黒森小児童



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